審美歯科

診療案内

診療科目:
歯科・小児歯科
診療時間:
月・火・木・金
9:00〜19:00
昼休み/12:30〜14:00
土・日 9:00〜17:00
昼休み/13:00〜14:00
休診日:
水曜・祝日
お電話:
011-669-8211
所在地:
札幌市西区西野5条3丁目7-1
[map]

☆歯と口の健康週間 特別企画★  北海道立旭川美術館  「やなせたかし と「詩とメルヘン」のなかまたち」展

今回は2013年の「歯と口の健康週間」に合わせて用意した記事となります。

歯科とアンパンマンには、実は密接な関係があります。

アンパンマンは0歳のお子さんにも人気のあるスーパーヒーロー。

そして「アンパンマンVSバイキンマン」という構図は、お子さん自身をアンパンマンとし、歯みがきしてバイキンマンである虫歯菌をやっつけよう!とお話しするのに、とても効果的なのです。

そして、やなせさんご自身も歯科に関して関心をお持ちであったようで、歯科にまつわる様々な作品を遺しておられます。

そこで「歯と口の健康週間」で、特集してみよう、と思い、たまたま旭川で開かれていた、やなせさんに関する作品展に行ってみました。

そこで知ることになったのは、柔和な作品と裏腹の、やなせさんご自身の壮絶までの戦争体験。

アンパンマン誕生の裏には、やなせさんの大きな希望があることがわかりました。

一見、単純なようで、実は重厚。

これがこの記事の後、自分が感じたアンパンマンの印象。

 

やなせさんは、この記事を掲載した2013年の10月に亡くなりました。享年94歳。

 

大人は「ただの絵本」と考えがちですが、背景にはどの文学作品にも負けない作者の思いや哲学があることを、教わりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日は歯科と何かとかかわりの多いアンパンマンについて御紹介しました。

院長は一か月前くらいから今年の「歯の衛生週間」について検討していたのですが、ふとしたことから歯に関係するアンパンマンの作品が多いことを知り、アンパンマンを御紹介したら見ていただけるかなあ、と考えていました、そのとき、旭川でちょうど やなせたかしさん に関係する展覧会が開かれていると知り、今や国民的な人気者となったアンパンマンの生みの親の方の素顔を知ることができたら、と、旭川まで行ってまいりました。

 

IMG_3478

こちら。旭川の中心にある常盤公園のそば。
院長が旭川美術館を訪れるのは2回目です。もう5年ほど前になりますが、ここで開かれた「大三国志展」に行ってまいりました。
その時はすごい行列で、ずいぶん待ちました、。

今回は、平日のしかも午前9時30分の開館と同時だったので、誰もいません。院長一人の貸切状態でした。

*お断り
今回も美術関係の知識を全く持ち合わせていない院長が頑張って書いてみます。的外れ、ピンボケの点があると思われますが「生暖かい目」でご覧いただけると幸いに思います。

 

早速中のご紹介。まずは「デビュー当時」の作品が並んでいました。

購入したパンフレットによりますと、やなせたかしさん は終戦後、中国より復員し、高知新聞社に入社したとのこと。
その後、1947年に上京。三越宣伝部に入社されたそうです。そこでは包装紙に携わったそうで、包装紙にある「Mitukoshi」のレタリングは現在に至るまで やなせさん の自筆が使用されているそうです。
その後、1953年に独立したものの、売れない日々が続きます。
その時期に描かれたイラストが並んでいました。やはり下積みの時期を過ごしておられたようですね。

その時期に作詞したのが「手のひらを太陽に」とのこと。自分自身を鼓舞する歌だったそうです。

そして1969年に「やさしいライオン」の絵本に携わり、この作品が手塚治虫さんが主宰する虫プロでアニメ映画化されます。

この成功は、絵本作家として やなせさん を開眼させる契機となった、とのこと。

展示でもそれまではどちらかというと大人向けのイラストが多かったように思います。やなせさん もまた、ご自分の針路を見つけるまで模索されたようですね。
ちなみに、この頃、アンパンマンもひっそりと誕生したそうです。

そして1973年、やなせさん の方向性を確固たるものとする雑誌を、やなせさん 自ら出版することになります。
1973年、「詩とメルヘン」を出版。
この時の、やなせさん自身による刊行の言葉を見たのですが、本人自ら「自分がやりたいことを本にした。長続きすることは考えていない」旨のことをおっしゃっていました。

この雑誌は、全てを やなせさん自らが担当されたそうです。
当初、3ヶ月も持たない、と言われた「詩とメルヘン」は、なんと30年間も刊行され、2003年まで続いていたそうです。

展覧会の方も、詩とメルヘンに関する作品が並ぶ部屋に至りました。前面に やなせさん のイラストが飾られた広い部屋。

すべて「詩とメルヘン」の表紙に使われたイラストだそうで、全部やなせさん自身が描かれていたとのこと。

詳しく見ていくと、どの表紙にも男女が描かれています。寄り添ったり、見つめ合ったり。大きかったり小さかったり。中でも二人が肩を寄せ合って、一つのものを眺めている作品が多い。
一番印象的なのは、今回の作品展の表紙にも使用されている「美しい五月となれば風はそよぎ木は緑 5月号」。

広い草原の中にある丸い池。そのほとりに一本の木と小さな白い花が並んでいます。でも、池の水面に写っているのは、手をつないだ男女の姿。

さて、その部屋の次は、「詩とメルヘン」に参加した、色々な方の作品が並んでいました。

いくつか思い出せる範囲でご紹介します。

まず、佐々木まき さん。

なんだか馴染みのある絵。「のらくろ」を思い出させます。懐かしい漫画のキャラクターのようです。

スズキコージさんの作品は、とても力強い感じが溢れています。登場人物の輪郭線はとても太く、色彩も鮮やかに発色しています。

水田秀穂さんはパステル調(?)の作品。

葉 祥明さんの作品は、どこかで見たような気がします。空と大地などが絵を二分し、その真ん中の地平線に小さな家がぽつねんと。
空は青かったり、夜で暗かったり。大地も野原だったり、草原だったり雪原だったり。家が無ければ二つの色が真ん中を境に配色された絵画のようにも見えます。でも、例えばこれからの北海道では、空の青さと畑の黄色、牧草地の緑、とか、冬だと同じく空の青と大地の白など、実は身近に広がっている景色。そう考えると、北海道は一年を通して絵画のような景色を楽しむことができますね。

ここまでは明るい感じ、なごやかな感じの作風が多かったのですが、水戸ケイコさんのところに至って、ガラッと変わります。
嵐の前を思わせる重い雲の広がる、暗い空。描かれた少女もどこか沈鬱な感じ。
そうですよね。思春期って、明るいばかりじゃないですよね。思い悩んだり、自分だけの世界に入り込んだり。
そんな、感情が極端に振れる頃の、もう一つの側面が描かれています。

最後に林静一さんをご紹介。
見覚えのある絵だなあ、と思ったら、昔食べた「小梅」という名前の飴」。ご存知の方も多いと思います。
その「小梅」のキャラクター「小梅ちゃん」のデザインを担当された方。
どうりでどの作品にも、あの面影を感じたはずです。繊細な描線による女性の立ち姿は、どこか憂いを感じますね。

以上が作家さん方のご紹介。本当はもっとたくさんの方が紹介されていました。

 

さて、展覧会はいよいよ佳境へ。次なる部屋は、アンパンマンでいっぱいでした。
でも、院長の知っているアンパンマンとちょっと違う。良く見ると「怪傑 アンパンマン」との題名が!

そこで紹介されているアンパンマンは、現在のように子供たちに親しまれるアンパンマンになる前の、「詩とメルヘン」に掲載された、小説「怪傑アンパンマン」。大人向け、とのこと。

作品の一部が断片的に展示されていました。最初は興味半分で文字を追っていると、だんだん面白くなってきて、つい時間をかけて読みこんでしまいました。そして結末は、という所で終わり。せっかくだから最後まで展示してほしかったです。

ネットで調べた範囲を極めて大雑把にまとめてみると、心優しい双子の少女と親しくなった怪傑アンパンマン。彼は、パン工場に火を点けた大悪党クロカワに復讐するため彼を追跡し、ついにアンパンチをお見舞いしたところ、なんとそのクロカワは、優しい姉妹の父親だった!「やめて!お父さんをいじめないで!」。クロカワへの正義心と復讐心、そして少女への想い。両方の感情に苦悩するアンパンマン。その時、彼の体に痛みが走った!彼は銃撃を受けてしまった!

とここで終わっているのです。しかもこれらも、院長の薄い記憶とネットでの情報をつなぎ合わせたものなので、全く違っているかもしれないのです。

また、怪傑アンパンマン なる主題歌もあるそうですが、そちらでは「この世で何が幸せか」などという歌詞も見られるとか。

現在放送されているアニメでは、極めて明確な「正義」を達成するアンパンマンですが、大人版では「何が正義か」という悩みから脱することができないようです。

「何が正義なのか」という命題は、アンパンマンを通して幾度も問いかけられています。

そこには やなせさんの従軍経験が根底にあるとのこと。

やなせさんは、昭和16年(1941年)に徴兵され、日中戦争に出征します。
そこで幹部候補生となり、高等司令部に所属。そこで中国人、中国兵向けのプロパガンダ宣伝ビラの製作を担当したとのこと。
従軍中は戦闘地域ではないところにいたため、戦闘経験はないそうですが、食糧不足による空腹を経験し、また弟さんを戦争で失くされた、とのこと。
アンパンマンの登場時、ヒーローは「正義」を口にして悪党と戦うけども、飢えた人を食べさせたりはしない。
本当の正義の味方なら、食べさせること、飢えを失くすことを行うはずだ。
これが やなせさん の「正義観」の根底にあるもののようです。
ただの親しみやすいキャラクターと思われたアンパンマンですが、その背景には通常では経験しえない実体験があり、それをもとに生まれたのでした。

院長は、歯と口の健康週間に合わせて、アンパンマンを特集しよう、と思い立ったのですが、それまで、アンパンマンは単純に「子どものヒーロー」としか思っていませんでした。
今回、思いがけずアンパンマンや やなせたかしさん について深く調べてみる機会ができたのですが、もう、今までのアンパンマン像には戻れません。テレビに出ているアンパンマンは、以前の院長の知るアンパンマンではなく、強い信念に裏打ちされたヒーロー。どんなヒーローよりも頼もしく見えてしまいます。

これはどんな科目の勉強をした時も思う事なのですが、どんな事柄・科目でも、少し調べるとその先には広い世界を感じさせられます。
それらの「事」は、何かのきっかけが無ければ、一生、興味を持つことが無く、そして興味を持たなくともおそらく人生において損はしない「事」。
でも、知ると、損はしないけど、得にはなる。
今回も、歯と口の健康週間でいろいろ知ったかぶりする、つもりだったのに、自分が一番勉強することになりました。

やなせさんの想いを感じてその部屋を出たところ、そこにはみんなが知っているアンパンマンの姿が!!

 

IMG_3479

壁一面の大きなアンパンマンとカレーパンマン。

アンパンマン誕生までを見届けたあとにこの絵を見ると、アンパンマンのほほえみの中にある慈悲深さまで感じるようです(感じすぎ?)。

で、院長も一緒に取ってしまいました。

 

IMG_3480

こんな感じ。貸切状態だからこそなせる業。

 

こうして展覧会を後にしました。

 

 

アンパンマンの顔は、おそらく小さいお子さんでも描くことができると思います。
もっと書くのが難しいけどカッコイイ主人公はたくさんいるはず。また、いわゆる「設定」も複雑でマニアックなものがもっとたくさんあるでしょう。

アンパンマンの絵もお話も、とてもシンプル。でも、作品哲学はかなり骨太。

いろいろなヒーローものが現れては消えていく中で、いつまでもアンパンマンが愛されるのは、その根底にあるものがかなりしっかりしているから、かもしれませんね。