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本棚通信  絵本の御紹介 ⑥ やなせたかし作品とYAKYUの絵本

 今回はアンパンマンでおなじみの やなせたかし氏の作品と、アメリカの絵本を御紹介。

 実は先日、院長は旭川の北海道立旭川美術館で行われている「やなせたかしと『詩とメルヘン』のなかまたち」展に行ってまいりました。6月4日から始まる歯の衛生週間に合わせた「取材」(笑)を兼ねてだったのですが、その時にやなせたかし氏の絵本作品も購入してまいりました。でも、なるべく皆さんになじみの薄い、初期の作品(?)を選んでみました。

 さっそくご紹介。

 

1、やさしいライオン  作・絵 やなせたかし   フレーベル館

 1975年の作品。(詳細不明)
 ある国の野外動物園に一匹のみなしごのライオンがいて、ある雌犬がライオンのお母さんの代わりになるところからお話は始まります。
 お母さん犬はライオンを我が子のように育て、「お手」など色々なことを教えます。でもまだまだお母さんよりも小さいライオン君。お母さんのいう事をしっかり聞いています。
 やがてお母さんのおかげでライオン君はどんどん大きくなり、タテガミをたなびかせる立派な雄ライオンになります。反対にお母さん犬は年老いてしまいした。体格もライオン君の方がお母さんよりも何倍も大きくなりました。
 やがてライオン君は遠くの街の動物園に引き取られていきました。ライオン君の乗ったトラックを涙を流しながら見送るお母さん犬。
 数年後、心優しいライオン君は、サーカスでも人気者になっていました。でも、夜眠りにつくとき、思い出されるのはお母さん犬に歌ってもらった子守唄。
 そしてある晩、いつものようにオリの中で寝ているとき、昔唄ってもらった子守唄が聞こえてきました!!
 何かを察したライオン君、ついにサーカスを抜け出し、お母さんのところに向かって走り始めました!
 ライオンがサーカスから逃げたことで大騒ぎになる街。銃を持った警官隊も出動します。
 ライオン君は、ついにお母さん犬を見つけました!でも、年老いたお母さん犬は雪の中で今にも死にそうになっていました。
 「おかあさん!こんどこそ離れないで一緒に暮らそうね。」と、今や小さくなったお母さんを抱きしめるライオン君。しっかり抱き合うライオンと犬。
 しかし、ライオンを見つけた警官隊は、「打て!」の命令のもと、二人に向かって発砲しました。
 二人は抱き合ったまま、雪の中で死んでしまいました。
 しかし、なぜか足跡が丘の上まで続いていました。その足跡は不思議なことに、途中で途切れていました。
 その夜、年寄りの犬を背中に乗せたライオンが夜空を駆けるのを多くの人が見ていました。

 院長はこの絵本を、中身を買わずに購入しました。なんせ朝7時に札幌を出発し、午前11時の汽車で旭川を出発する、という強行日程であったため、ゆっくりと選ぶ時間はありませんでした。

 やなせたかし氏といえば、テレビでやっているアンパンマンのイメージが強かったので、おそらく明るい内容だろうと思っていたのですが、札幌に戻ってから読んでみて驚きました。

 なんとも切ない親子のお話し。犬とライオンという異種の関係、みるみる逆転する体格、残酷な死。それでも最後は一緒になる。

 正直、これを本棚に納めるべきか、考えました。でも、以前納めた「ブーツをはいた猫」のように、子ども向けのお話しって、必ずしも明るいお話やハッピーエンドばかりではないですよね。皆さんも小さい頃、ある意味「過激」なお話を聞いたこともあるかと思います。鶴の恩返しもある意味、切ない。
 色々な感情を刺激するのが絵本ならば、悲しいお話し、切ないお話しもまた必要なのかもしれない、と思い、納めました。

 院長はあらすじを書いてしまいましたが、絵本の本領は、院長が書いたような簡単なものではありません。いえ、お話自体はとても簡単で平仮名ばかりですが、そこに描かれている絵と同時に見ることで、そこから得られる感慨の深さは、とても文字だけでは伝わりません。シンプルなのに、大人の感情も揺さぶられてしまいます。

 最後の方に出てきた、ライオン君とお母さん犬が抱き合っている絵を見て、お母さんの治療中に、離れるのが嫌だからと一生懸命お母さんにしがみついているお子さんの姿を思い出しました。

 

2、それいけ!アンパンマン   作・絵  やなせたかし  フレーベル館

 ご存知、アンパンマンももちろん購入。でも、こちらのアンパンマンは1975年に出版されたもの。そして中身も「みんなのヒーロー」とは少し違う。
 
 ある雪山でお猿さんが遭難してしまいました。それを見つけたアンパンマン、真っ先にお猿さんに向かいます。
 「おなかが空いたよう」と訴えるお猿さんに、アンパンマンは自分の顔を食べるように話します。このお猿さんはなんと、顔の半分くらいも食べてしまいました。顔が半分になって力が出ないアンパンマン。背中にお猿さんを乗せて飛ぼうとしてもうまく飛べず、真っ逆さまに落ちてしまいます。でも、そこは我らのアンパンマン。力を振り絞ってなんとかうまく着地に成功。
 「おなかがすいたらいつでも呼んでね」とお猿さんを優しく森に送ったところ、なんとそのお猿さんが多くの仲間を引き連れて、アンパンマンを食べるべく森から出てくるではありませんか!!さすがにうろたえるアンパンマン。
 しかし、その時、森の脇にあった湖から恐竜が現れて、お猿さんたちは逃げてしまいます。そして恐竜はアンパンマンをひと飲みしてしまいました!
 でも、この恐竜、実は甘いのが大嫌いで、アンパンマンを吐きだしてしまいます。アンパンマンは吐きだされた勢いでジャムおじさんのパン工場の煙突に。その後、無事、ジャムおじさんに新しい顔を作ってもらったアンパンマンは、今後もおなかが空いて困っているひとを助けることを誓いました。

 これもまた、意外な展開。アンパンマンと言えば愉快で優しい仲間たちが浮かびますが、ここに出てくるお猿さんは、食い意地が張っていて、厚かましくも仲間を引き連れてアンパンマンを食べようとします。なんか釈然としない。
 で、恐竜が出てきたときに、「お、アンパンチが炸裂するか?」と期待したのに、やけにあっさりと食べられてしまいます。
 胃の中で反撃して脱出するのかと思いきや、恐竜が甘いのが大嫌いだから出てこれた、という情けなさ。

 こんなの院長が知っている、強くて優しいアンパンマンじゃない!と少しいじけたのですが、巻末のやなせたかし氏の言葉を見て納得しました。
 
 「アンパンマンはじぶんのかおをたべさせることによって、いろんなひとをたすけます。
 そのとき、アンパンマンはなくなりますが、アンパンマンのいのちは、たべさせることによっていきるのです。だからアンパンマンはなんどでもいきかえってきます。」
 
 ここからは院長の勝手な解釈も入っていますが。
 人にやさしくするとき、無意識に見返りを求めてしまう事ってありませんか?別にお金やモノで返ってくるとかではなくても、感謝の言葉とか尊敬などの形で、優しくした相手に何らかの対価を求めていることって、ありませんか?なかなか認めずらいことでもあるし、正直、感謝の言葉くらい寄こせよ!と言いたくなる時がありますよね。少なくとも恨まれることではない。でも、自分が「してあげた」と思うほど、相手は受け止めてなかった、ということも、ママあることではあります。
 でも、なんらかの形で優しくすることで、誰かが助かるのも事実。すると、その優しくした行為は確かにその人のその後では「生きている」わけです。
 もしかしたら、ここで描かれたアンパンマンは、究極の善意、なのかもしれないですね。常人にはなかなかマネのできない、見返りもなく、むしろ顔が無くなる、という事で自分を殺す必要もあるのに、それでも迷うことなく人に与え続ける。これこそまさに、現実社会のヒーロー像。
 
 やなせさんはさらに、巻末でこう述べています。
 
 「あんまりつよくなく、みかけもよくないですが、アンパンマンはどんなぼうけんもおそれず、おなかがすいたひとをたすけるためにとびつづけます。」

 例え力が強くなくても、かっこ悪くても、アンパンマンは「無償の優しさ」をもって、強さを見せてくれています。大人になると力任せでも上手くいくとは限りません。頭が良いからいい、というわけでもありません。「絶対的に正しい」と断言できないのが大人の社会。そんな社会にアンパンマンは最も得意な方法で接しています。
 最後にやなせさんはある一言を残しています。

 「ぼくもアンパンマンにまけずにおはなしをかきつづけるつもりです。」

 やなせさんは、なんと54歳まで無名時代を過ごした、とのこと。今や国民的な歌となった「僕らはみんな 生きている」の歌の歌詞は、そんな無名時代に、やなせさんが自らを元気づけるために作ったものだったそうです。
 この最後の一言には、非力ながらも自ら得意とする方法で、社会に関わろうとするやなせさんの意思を感じます。

 ある意味、この1975年に出版された「アンパンマン」は、やなせさんの決意を体現したもの、と言えるのかもしれません。
 つまり、アンパンマンはやなせさんそのもの、かもしれない。

 この作品に描かれているアンパンマンは、不条理な社会と非力ながらも自らの方法で対峙しよう、というやなせさんの「決意表明」なのかもしれませんね。そして、この作品で描かれているアンパンマンこそ、やなせさんがアンパンマンというヒーローを通じて伝えたかったこと、なのかもしれませんね。

 

 

3、TAKE ME TO OUT TO THE YAKYU     By AARON MESHON         ATHENEUM社(?)

 こちらはネット閲覧中に見つけた作品。アメリカで出版された「YAKYU」の本。
 
 ある野球好きの男の子が、おじいちゃんに野球観戦に連れて行ってもらいます。
 そしてここから左ページはアメリカの子供の「BASE BALL」観戦、右ページは日本の子供の「野球観戦」と別れて紹介されていきます。
 つまり、アメリカと日本の野球観戦の違いを比べてみよう、という内容。

 まず球場の周囲からして日米では違います。
 
 ビルや市街地に埋もれた日本のスタジアムに対し、アメリカのスタジアムの周囲は車を何台も停めれる広大な駐車場。
 車社会のアメリカと、狭い土地にひしめく日本では、球場のあり方からして異なります。
 続いて応援グッズ。手の先に「指差し」の風船(?)を付けて応援するアメリカに対し、音の成るメガホンで応援する日本。
 食べ物も、ホットドッグにピーナッツのアメリカに対し、ラーメン、枝豆、たこ焼きという日本。
 試合中の応援も、7回ではアメリカでは「Take me out to the ball game」がうたわれるのに対し、日本ではおなじみ風船アクション(正式名称不明)。
 試合終了後、車で帰るアメリカに対し、バスで帰る日本。
 でも、帰宅後は、どっちの子供もお風呂に入って、大満足で眠りにつきます。

 似ているようで異なる、と言われる「ベースボール」と「野球」。

 かつてヤクルトに在籍したバリバリのメジャーリーガー、ボブ・ホーナーも、ベースボールと野球の違いを述べていました。

 でも、この作品ではそんな玄人の戦術比較など一切触れず、速球の言い方の違いや応援の仕方の違いなどが、かわいらしいイラストとともに紹介されています。
 
 ところでこちら、アメリカで出版されただけあって(院長はアマゾンで購入)、全て英語。その中で「SOKKYU」とか「KATTOBASE!」「GANBATTE!」という単語を見つけると、なんだかうれしくなります。
 また、打った瞬間の音も、日本では漫画や文章では「カキーン!」と表現しますが、アメリカでは「CRACK!」と表現するそうです。

 でも、お子さん向けの絵本なのに、英語だけで大丈夫なの?とお思いかもしれませんが、文章自体が平易で短いですし、比較的わかりやすい単語ばかり。その上巻末には、野球用語の英語と日本語の対応表もあり、とても読みやすいし、わかる単語(Otokonoko)などを拾うだけでおおよそのあらすじがわかります。お子さんが英語に親しむにはぴったり。

 日本とアメリカは、文化の面で全く違うように見えても、「野球」という言語では共通ですね。

 

 

 今回は、大人も読みごたえのある作品ばかりになりました。そういえば、剣淵町を舞台にした「じんじん」という映画も、メインは絵本だとか。

 今回ご紹介した作品は、大人も「じわっ」と来てしまう事をお約束します。