審美歯科

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本棚通信  マンガ本の御紹介 ④ サザエさん

今回は、数年前に復刊された「よりぬきサザエさん1,2,3」の御紹介です。

 

サザエさんの原作者である長谷川町子さんも、マンガの巨匠、と言っても差し支えないと思われます。

なんでか読むとホッとする。

長谷川さんの作品は、ドキドキワクワクは少ないけども、どんな人でも必ず安心させてしまう。

サザエさんの原作の中に描かれている日常生活はすでにありませんが、そこにある会話や行動は、今も変わらないと思います。

 

 

 

 

 

昭和を描いた作品と言えば、近年公開されヒットした「ALWAYS 三丁目の夕日」が有名ですが、ある世代より上の人では「サザエさん」が浮かぶのではないでしょうか?

今もテレビで放送されている「サザエさん」は時代の発展とともにあるため現代劇を見ているような感じがしますが、原作者の長谷川町子さん自身が連載した4コマ漫画の「サザエさん」は、まさに「昭和」の日常風景を切り取ったかのようでした。

院長は幼少のころより身近に単行本の「サザエさん」があったため、よく読んでいました。

院長は昭和に生まれ、中学くらいで平成を迎えた世代。若い人から「昭和の人」と言われてもおかしくない世代ですが、それでもサザエさんのマンガに描かれていた「昭和」は、院長の知らない昭和時代。院長の小さい頃からテレビのリモコンが登場し、ビデオデッキも現れ、パソコン(当時はマイコンとも言われた)も社会の一部に普及し始めた頃。
対して漫画のサザエさんはその以前、家電製品がまだ珍しい頃の「昭和」が描かれていました。だから院長の知らない昭和時代のお話でした。

それもそのはず、連載されていたのが1946年から、院長が生まれる直前の1975年まで。まさに昭和時代の真っ盛りの時期。

豆腐屋さんをカツオが追いかけたり、三河屋さんが勝手口から入ってきたり。そういえばテレビではまだ「サンペイ君」は出ているのでしょうか?コンビニ全盛の時代では三河屋さんのようなお店は存在しない可能性がありますね。
あるエピソードでは、遅くまで居座る波平さんのお客さんにイライラしたフネさんとサザエさんが、ホウキの先にほっかぶり(昔、年配の人が頭に手拭いを巻きつけていましたよね。あれ。なんと漢字がわかりませんでした)をさせて波平さんの背後からお客さんに見せる、というシーンがあるのですが、なんのことだかさっぱり意味が分かりません。結局わからないまま年月がたち、数年前に「一揆」についての歴史書を見ていたところ、このシーンに言及している専門家の方がおられ、戦国時代の「村」は、現在の自治体以上の意味があり、盗賊へ備えたり、大名や寺社勢力などと交渉するのも「村」単位で行われ、徳政令を受け入れるかを決定するのも「村」で判断したため、今以上に結束の強い存在でした。各村の入り口には棒の先に何やらつるしたり、鳥居のようなものを作ったりしたのですが、それは外世界との境界を敷くための「結界」の意味があったとか。で、その先生は、その習慣が形を変えて残り、明治維新後には家の魔除けのような意味になり、サザエさんの時代には迷惑なお客さんを追い出す世俗的なアピールとして残ったのではないか、とのこと。よく、嫌な人が来たら「塩をまけ!!」といいますね。もしくはお葬式から帰ってきたら家に入る前に塩を振りかけますね。ああいうたぐいの習俗の一つなのではないか、と推測しておられました。ここから判断すると、サザエさんには、今や消滅してしまった当時の生活習慣が描かれていたことになりますね。

サザエサンの連載期間は、日本の高度成長時代に一致します。漫画の中でも電化がどんどん進み、今やテレビでよく「歴史的事件」として取り上げられる東京オリンピック、アジア大会、大阪万博の模様が、懐かしむ感じではなくリアルタイムに描かれています。
また、全話の根底にある何とも言えない「バタ臭さ」。読みながらついにやけつつ、どこか安心してしまう。
思えばサザエさんから色々と学んだこともあります。作中ではキャバレーも出てきますし、大人向けの内容もあります。泥棒も良く出てきます。なんだか盛りだくさんの事を、この漫画から自然に覚えたような気がします。

 

昨年の年末に「よりぬき サザエさん」が復刊された、とのこと。今回、本棚に納めてみました。

石造りの台所にたらいでの洗濯、おひつに火鉢と、今や全くみられない生活用品の数々。今回の1~3巻は、長い連載期間の中でも極めて初期のもの。戦争終結直後と言ってもいいころの作品。現代人は戦争直後というと暗いイメージが浮かびますが、作中のサザエさんの日常には暗さが感じられません。おそらく大変な時期だったとは思いますが、それでも日常生活にはほのかな笑いや吉事もあったことがうかがえます。

昔を思い出す語りにはない、実に生々しい「昭和時代」を感じることが出来ます。

フランスのラスコー洞窟には15000年前にクロマニョン人が描いた壁画があります。牡牛の絵や手形など、様々な絵が描かれています。

考古学者、人類学者はこのわずかな手がかりから、当時の生活を推測しなければなりません。もっとも本人たちにとってはそれが面白いのかもしれないけど。

そう考えると、サザエさんは、今や歴史になりつつある激動の「昭和時代」を記した歴史的な遺産なのかもしれません。
15000年後の誰かがサザエさんの単行本を発掘した時、もはや笑うことはなく、「三河屋とはなんだ?」と真面目に考古学をしているかもしれません。

サザエさんを見ていると、文字では知ることのできない、そして現代人の推測を挟まない、当時の生の生活を見ることが出来ます。

単純に漫画としても面白いし、高度成長期の伸びやかな昭和時代に思いをはせるもよし。ぜひ、手に取ってみてください。