審美歯科

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飲ンベ先生との思い出

  • Date / 1月 9th, 2016
  • Category / 雑談

吉田類さんをテレビで見かけるたびに、自分は十勝でであった、ある人のことを思い出します。

お世辞抜きに素晴らしい作品を描く芸術家でありながら、なぜかお酒が大好き。

それも若い人の宴会にありがちな「勢いに任せてゴクゴク飲む」というのではなく、本当にチビリチビリとお酒を飲むのです。
それこそ杯の中に残った一滴まで舐めるように。

飲ンベ先生とはお酒を飲みながら、いろんなお話をしました。美術館にも行ったり、芸術のお話も伺いました。また、二人とも鉄道好き、という点でも一致!!

生涯において、芸術とか読書とか、鉄道とか、好きなことばかりをダラダラと話し続けたのは、あの時が一番だったと思います。その傍らには必ずお酒がありました。

先生は、今、お元気なんだろうか?何度か尋ねてみたのですが。

 

今回は、本棚のお話からそれてしまうのですが、過去にお話しした、飲んべ先生との思い出話を再掲載させていただきます。

 

 

 

 

 

十勝に住んでいた時、周囲には内緒で、絵の教室に週一回通っていました。
その時の先生が、実にユニークな方でした。

先生はいかにも「ゲージツ家」といった感じ。いつも長白衣を着ていて、それはあちこち絵の具で汚れています。口ひげを生やし、じつにのんびりな感じ。ある意味、良く映画に出てくる風変わりな博士、といえます。
性格も正に「ゲージツ家」で、「細かいコタあ、気にすんな」を地でいっています。無頓着であり、まさに「わが道をゆく」。そんな感じ。

そんな先生のもと、マンツーマンによる絵の指導が始まったのですが、途中から趣を変えてしまいました。「お酒好き」という性格がお互いに分かってくると、指導の終了後、お酒を飲んで帰るようになりました。だんだんとその時間が長くなり、2時間の指導時間の内、最初の30分で終えて飲む、ということも増えてきました。(あくまでも自分の時だけで、自分も同意の上です。他の生徒さんにはきっちり指導されている先生でした。)

先生はロシア料理がお得意で、たまにボルシチやロシア風餃子をふるまってくれました。また、飲むお酒もなかなかおしゃれ。でも、ある時、「これを飲んでみるか?」と出されたのは、なんと96度のウォッカ。ほとんど工業用アルコールじゃないか!、と驚愕しました。ロシア製のもの、とのこと。で、これをカクテルグラスになみなみと注いだミネラルウォーターに混ぜるのですが、なんせカクテルグラスなんでそんなにお水が入っていない。「いいか、一滴以上入れるなよ!」と厳命され、恐る恐る注いだのを覚えています。先生も作っていましたが、随分酔っているので手が定まらない。おいおい大丈夫か、と思っていると、注ぐ直前にはピタッと止まるから不思議。さすが飲ンベの真骨頂です。
この時、競馬中継を見ていたのですが、先生が「ウォッカ好きだから」と、ウォッカという名前の馬の馬券を購入、見事あてていました。後で聞いたのですが、結構有名な馬だったそうですね。先生は少額ながらロトくじもされていましたが、詳細なデータがある、といいながら、最終的には競馬と同じく「ノリ」で買っていました。

先生とはいろんなところで飲みました。教室の外にテーブルを持ち出して焼肉したり、遅くまで飲んだり。どっちも一方的に話して自分で盛り上がる、という変わった飲み会ですが、面白かったのも事実。
また、いろんなところにも出かけました。大津港にスケッチに行ったり、糠平の温泉街を描きにいったり。中札内の畑の真ん中にある道路の交差点脇の無人の卵即売所をスケッチしたり。(帰りは当然道の駅で飲んでおられました)。先生は、有名な名所旧跡を描くよりも街中の趣のある建物だったり、少しさみしい感じのする町の風景などを好んで描いておられました。

さて、そんな飲んべ二人の最大のイベントが、「網走への一泊旅行」でした。なんと先生も鉄道好き。そのあたりでも意気投合していたのですが、そうやって盛り上がっていた夏、オホーツク地方は小清水にて、世界初の自動車と鉄道の両用車両「DMV」が試験運行される、事を知り、これはいかねばなるまい、と結束。帯広から日帰りは無理だからと北見での一泊旅行を企画いたしました。

なぜ北見かというと、飲ンベ先生も北見の地ビールが大好きで、よく一泊でわざわざ飲みに行かれる、とのこと。じゃあ、と北見のビジネスホテルを予約。酒飲みと鉄道、という2大欲求を満足させるべく、出発したのでした。

でも、そこは「ノリ」で動くことの多い二人。北見へもまっすぐには向かいません。途中、陸別でお祭りがあれば寄り道して何か食べ(運転しない先生はやはり飲んでいました)、旧銀河線の味のある川上駅で停車しては浸る、といった感じで、予定時刻を大きくオーバー。夕方到着予定が結構遅くに。

それでも、ホテルに荷物を預けるや否や、早速、地ビールを飲みに出かけました。飲み放題を注文。いやあ、何杯飲んだかも覚えてないくらい飲みました。

それで収まるわけもなく二軒目へ。そこでも飲んでました。途中、ママさんが30分も店を開けるという異常事態を挟みつつ、夜中の2時くらいまで飲んでました。次の日は朝6時出発なのに。ホテルに帰ってから、自分は爆睡したのに、先生はさらに寝酒をした模様(しかも持ち込みのウォッカ)。
翌朝、さすがにグロッキーな様子で、車の中で寝ていました。

話はガラッと変わってしまいますが、先生とは帯広の町でも飲み歩きました。いろんなおいしいお店も教えてもらいました。いつかそちらもお話ししますね。

肝心の絵の方ですが、先生は何かの委員をされているとのこと。先生は抽象画から風景画まで、いろんな作品を描いておられました。

先生にはいろいろ教わりました。風景画は、間違って書いた線も後で味が出てくるから消すな、とか、必要なら想像の建物を書き足せ、とか、あえて書くな、とか。「絵って自由に書いていいんだな」と実感したものです。スパルタでもなく、前記のようにゆるーいなかで絵の描き方を教わりました。

先生は若いころ、絵の武者修行のために全国を旅したことがあるそうです。道端でスケッチや肖像画を描いて売り、そのお金だけで移動し生活した、とのこと。途中、人の縁でごちそうになったり、良い思いをしたお話を聞きました。
また、練習のために、毎日風景画を描きに出かけていた、とのこと。とにかくできる限り早く多く絵を描いていた、とのこと。全盛期には5分で6枚とか(もちろん色塗りまではいきませんが)。 センスがある、ってだけではだめで、たとえ芸術の世界でも練習が必要なんだ、と思いました。

先生とは十勝の各地を、スケッチブックを持って絵を描きに出かけました。でも、どこも地味なところばかり。大津港は十勝川の河口に近い港ですが、小樽港や釧路港と違い、本当に小さな港。近くに数件の集落があるだけ。でも、確かに趣のある風景でした。その他、池田町の田園風景や川、十勝大橋など、一見何の変哲のない景色を書きました。中札内の卵販売所なんて、通りがかりの車に「何やってんの?」って感じに思われたのではないでしょうか?でも不思議ですね。絵を描くために風景を凝視していると、そこは彩りがあふれていたりする。観光案内に掲載されない、でも、実にいい景色が、実は周りに溢れているんだ、と気づかされました。そうなんですよね。十勝の景色って、あまりにもあの場所では普通すぎるので気付かないのですが、確かに他とは違っているのです。先生のおかげで、十勝での生活は、なかなか充実していました。

絵に興味があるのだけど、絵を描く前に、「センスがないから」とあきらめてしまっている方もおられるのではないでしょうか?でも、別に国際展覧会に出品するわけでもなし、「日本トップレベル」を目指すのでもないわけです。そして、日常生活にて絵を楽しむくらいのうまさは、練習やレッスンによって確実に会得できる、とのこと。気になっている方は是非、教室に行ってみては?自分の経験したような、意外な方とお会いできるかもしれません。

飲んべ先生には、ささやかな場所に味のある風景があること、おいしいお酒の飲み方などを教わりました(苦笑)。楽しくもどこか奇妙な十勝での日々でした。え?院長の絵の腕前ですか?いい思い出があれば十分です。