審美歯科

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本棚通信  「お弁当」と言う会話

長く続いた「本棚通信」の総集編ですが、これにて終わりになります。

最後は、人生で最も「扱いにくい時期」である中学生、高校生向けのお弁当のレシピ本。

今は親となった方々、ご自分たちの中学、高校時代はどのような「子ども」でしたか?

会話はそっけなくなったとしても、あの時に食べた味はうっすら覚えているはず。

そう考えると、お弁当を通じて生涯にわたって会話をしているのかもしれませんね。

 

お弁当は言葉以上の家族の思い出を残すことができる、と実感させられたレシピ本をご紹介して、本棚通信の特集を締めくくらせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この春からお子さんが中学生、高校生、という御家庭も多いのではないでしょうか?

それまでいつもジャージなんかを来て走り回っていたのに、いきなり学生服を着て日常を生活しだす。

最初は学生服姿のどこかに子供のあどけなさを残しているのに、いつの間にかすっかり「中学生」になってしまいますよね。

ましてや高校生ともなると、いよいよ「学生服姿」も板についてきます。

環境が人を変える、とよく言われますが、それはあるかもしれない。

学生服を着るようになり、学校の授業の科目の名前が「算数」から「数学」に変わり、先生もなんだか少し厳しい気がする。

ある日突然、それまでの環境が変わったとき、自分も変わらないいいけない、と思ったことってありませんか?

そしてそれは「親子」のあり方も大きく変化するとき。

それまで「おかあさん」「おとーさん!」と屈託なく連呼し、ぴったり体を密着させたがっていたのに、学年が上がるたびに徐々にそっけなくなり、中学以降からはいよいよ大きく変化します。なんというか、微妙な距離感。

お母さん、お父さんにとっては戸惑い、寂しさも感じる時期と思いますが、そっけなくなることや、それなりの反抗期は、正常な成長過程でもあるのも事実。

かつて自分たちも同じ「中学時代」「高校時代」を過ごしてきただけに、気持ちもわかる気がするし。
時には邪険にされ、時には邪魔者扱いされ、時には蔑まれる。親としても歯がゆい時期かもしれません。

ではこの時期、親はひたすら子供の気持ちに翻弄され、もしくは受け身であることしか許されないのか?
今回は、そんな「思春期」のお子さんに対し、「弁当」をもって対したお父さん、お母さんの「お弁当レシピ本」をご紹介いたします。

 

 

1、「461個の弁当は、親父と息子の男の約束」     渡辺俊美   マガジンハウス

著者の渡辺俊美さんは、ミュージシャンとのこと。また洋服屋さんをやったりと、今まで自由に生きて来た方。
奥様と離婚し、息子さんとの二人暮らし「父子家庭」であった、とのこと。
そんな中、息子さんが高校受験に失敗する、という事態に。
それまで気ままに生きてきた渡辺さんは、無理して高校に行かなくても良い、と言うスタンスでしたが、息子さんの希望は「高校に進学したい」。
息子さんの決断を嬉しく思った渡辺さんは、息子さんとお互いに「約束」をします。

それは、息子さんは「3年間、高校通学を頑張ること」。そしてお父さんは「3年間、毎日休まずお弁当を作ること」。

二人にとっての「3年間」が始まりました。

なんだかドラマチックな冒頭ですが、この本はあくまでも「お弁当の本」です。

渡辺さんは約束を守るため、3つのルールを自らに設定します。それは

1、調理の時間は40分以内
2、1食にかける値段は300円以内
3、おかずは材料から作る

この3原則に忠実なお弁当レシピが掲載されています。

渡辺さん自身が、「長続きできるように」と考えたルールだけあって、毎日の弁当作りが苦にならないように配慮されています。

本の中では、渡辺さんが毎日作ったお弁当の写真と、そのお弁当を作った日に考えていたことが掲載されています。

やはり男の子、しかも育ちざかりの高校生だからでしょう。肉料理があって、ご飯も多い。これなら男子高校生も満足できるでしょう。男の気持ちがわかっているメニューばかり並んでいます。

詳しい作り方は掲載されてい無いものの、参考にしていただければ幸い。

 

 

 

2、今日も嫌がらせ弁当    ttkk (kaori)著     三才ブックス

次なるお弁当の本は、お母さんと女子高生の娘さんとの「お弁当」。

こちらも毎日のお弁当と、それに関するコメントを添えている点は変わりません。しかし、一冊目えは息子の成長と自身の心境などを中心とした「オヤジと息子の対話」が書かれているのに対し、こちらの本では何とも明るい「親子対決」の模様が中心。

タイトルからしてなかなかインパクトがありますが、こちらは高校に進学し、反抗期を迎えた娘の態度にカチンとしたのが大元のため。

少しクールな次女が、高校進学と同時についに無視をし始めた!普通の親ならば戸惑い、傷つきながらもなんとか「会話」をして距離を縮めようとするかもしれない。

しかしこちらのお母さんは違った!なんと冷たくした娘に対し、自分も嫌がらせをすることで仕返しすることを決心したのでした。

その復讐の手段とは、「弁当」。

親とロクに会話もしないくせに、毎日親が作っている、しっかり完食する手作り弁当を用いて、娘への反撃を開始!

なんとお弁当に、幼稚園児向けのお弁当のようなキャラクターを描いた「キャラ弁」を作ったり、海苔で有名人の似顔絵を書いたり、「はやくおきろ!」と書いたり、母の日やクリスマスには「プレゼントよこせ」的なことを食材を使って書いたり、「呪」と書いたり・・・。まあ、好き勝手なことを書いたり作ったりしている!!ある時などは、ウインナーを「指」に模して並べています。しかも関節付近にはケチャップが!ストレートに言ってしまうと、切断されて血が出ている指そのもの!食べ物なのになんと悪趣味な!!ここまでくれば逆に大したもんです。

こんなの、クラスの友達に見られたら恥ずかしすぎる!娘さんの心境がなんとなく伝わってきます。

 

でもそこは男女問わずいつも腹が減っている高校生。そんなお弁当でも、毎日、平らげざるを得ない娘。食べなきゃいけないことを見越して「嫌がらせ」する母親。

おいおい、これってなんだかんだ言って、親は最後は見捨てないだろう、と勝手なことを言う思春期の男子、女子そのものじゃないか!

読み進めていくうちに、まるでお母さんが娘に「反抗」しているかのように思えてきます。

「生意気なガキの好き勝手にさせるか!こちとら人間だ!!テメエのメシを作るだけの存在じゃねえ!!」

そんなメッセージを感じます。

それこそ「俺の、私の個性を認めろ!!」と叫ぶ少年少女のようです。

でも、どれもとても手が込んでいて、時間がかかっていることが伝わりますし、おかずもとても美味しそう。

当初は意地でつづけていた、というお母さんですが、娘の学年が上がるたびに心境の変化が起こってきたようです。

最初は嫌がらせの気持ちが強かったのに、3年生になると「勉強がんばれ」など、応援メッセージが増えていきます。

いよいよ卒業が近づいてきたときから、そのメッセージも想いのこもったものになっていき、それと同時に寂しさも感じ始めたおかあさん。

そしてついに迎えたお弁当最終日。はたしてお母さんはどのようなメッセージをお弁当に託したのでしょうか?
本の途中では3年間の次女との日々のやり取りも語られているのですが、まあ、「あのころ」の男子・女子にありがちなものを感じましたね(苦笑)。とにかく家ではお母さんに素っ気なく、無視したり、「ウザイ」と言ってしまったり。大事な要件はLINEで知らせる、とか。

でも、そのLINEでお母さんに話しかけるときは、クスっとさせるスタンプを使ったりしていて可愛げのあるところを感じさせます。たまに見せる愛嬌に、お母さんもホンワカしたと思います。

そして、朝、おかず満載の弁当箱が母から娘に渡され、夕方、カラの弁当箱が娘から母に渡される。

このやり取りは3年間、絶えることなく続けられました。これもまた、親子の「会話」の形の一つ。

 

よく、テレビなんかで教育評論家の方が、「思春期の親子の断絶を避けるために、家庭でもっとお子さんと会話するべき」という意見が話されているのを聞きます。そのために「学校で起こったことを聞くように」とのこと。

 

皆さん、どう思います?正直、中学や高校になってまでイチイチ親に「今日は学校で何があったの?」なんて聞かれたいですか?

自分だったら「ウルセー!」って、思っちゃったと思う。

イチイチしつこく聞かれる方が、返ってうんざりしてしまうのでは?もちろんご家庭によって違うと思うけど。

中学以降、親との関係、距離感が微妙に変わってくると思うのです。

友人関係も変わるし、友達以外にも「気になる人」も出てくるし。

男子なら、体の変化とともに「バカな事」で真剣に悩んでしまったり。オッサンになってしまえばお酒の上での「しょーもない笑い話」になるようなことでも、まるで自分だけが悩んでいるかのように思えてしまうし。些細な事でも絶望してしまったり。

周囲からすればどうしていいかわからない時期ではありますが、親も「昔のように会話してくれなくなった」とオロオロする必要は無し!子供は結局、今は親なしでは生きていけないことも自覚しているものです。

「対話」って、別に声に出す会話にこだわらなくてもいいんじゃないか、と思うのです。

無言のままでも一緒にドライブしたり、野球中継を見て一緒に野次ったり、同じ時間を共有したり、無言のやり取りなどもまた、「コミュニケーション」だと思うのです。本当に嫌いなら、弁当も持っていかなかったり、捨ててしまっていたかもしれないですし。
ご紹介した本の著者のお子さんたちも、お父さん、お母さんの気持ちが伝わっていたようです。

巻末にはそれぞれの息子さん、娘さんからの感謝の手紙が掲載されています。

ちゃんと「感謝しています」「ありがとうございました」と書かれています。こんなこと、反抗期の真っ最中なら言えないと思います。
いつかそれを言われる日、言わせる日が来ることを、お二人は信じていたのかどうかは不明ですが、「弁当のやり取り」という毎日の会話は成立していたことはわかります。家族の情の表現の仕方、伝え方って、色々だなあ、と思います。

 

思春期の時期のお子さんとは、一見、距離があるように見えても、何か交流の手段があるんだなあ、と実感させられました。