審美歯科

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本棚通信 宮中料理を覗いてみよう!

前回は「オーブン料理」「和食=家庭料理」「酒場放浪記」と、いわば「大衆料理」の本をご紹介してまいりました。

で、これまでご紹介してきた本の数々も、「大衆料理」ばかり。

ここで思い切って、その対極にある料理を見てみよう!!

 

「大衆料理」の対極にある言葉を考えたとき、「宮中料理」という言葉が浮かびました。

庶民とは住む世界が全く違う「宮廷」「王族」の料理、となると、華やかで芸術的、そして味がとても洗練されている、というイメージがあると思います。

もっと言えば、国中から選ばれた、その国のトップレベルの料理人が最も「レベルの高い」料理を、毎日のように供している、と。

ではここで、日本の「トップレベル」の料理が供されているであろう、皇室のレシピを見てみよう!と思い、以下の本を購入してみました。
1、天皇陛下料理番の和のレシピ   谷部金次郎   幻冬舎

著者である谷部金次郎氏は、1964年から昭和天皇の料理番として、日常の食事はもちろん、儀式、催事の調理を手掛けてこられたそうです。そして昭和天皇御崩御に際して退官された、とのこと。

さて、昭和天皇はどのようなものをお召しになられていたのか?と興味深々で覗いてみると、肉じゃが、豚ばら肉の角煮、豚肉の生姜焼きなど、庶民にも馴染みのものばかり載っているではありませんか!!

さらには焼きなすびたし、白菜の塩漬け、ロールキャベツなど、野菜料理が豊富!「キャベツとハムのバター炒め」に至っては、仕事から帰って腹が減ったから、と独身男が適当に作っても作れそう!(もちろん、味は雲泥の差でしょうけど) さらにさらに「ほうれん草の胡麻和え」なんて、「田舎のばあちゃん」が作っていそうな感じそのもの!

ぶっちゃけ、IT企業社長とか、「青年実業家」といった、ちょっとしたお金持ちの方の方が、よっぽど昭和天皇よりも豪華なものを毎日食べていそう!

おいおい、これはどういうことだ?御皇族のお料理ともなれば、毎日ステーキ、フォアグラ、キャビア、北京ダック、寿司を食べているんじゃないの?(思いつく限りの高級料理を上げました。これが自分の精一杯)

疑問に思い、冒頭のまえがきを読んでみたところ、「家庭では家計費の問題もあるでしょうし、時間も限られるでしょう。実は宮中も同じなのです」とのこと!

ああ、やはりどこもそうなのね。

でも、「日本トップレベルの和の料理人」の発想はここから変わってきます。

そういう限られた状況だからこそ、「私たち料理番には創意工夫が求められるのです」とのこと。

さらに「食材を無駄にしないことは大前提。切り方や味付けを変えるだけで、違った料理に変化します。食材の組み合わせを変えることも、料理の幅を広げることにつながります」。

ん~、なるほど、限られているからこそ、創意と工夫を凝らしてきたのですね。

案外、「和食」の真髄、とは、ここにあるのかもしれませんね。

日本はモンゴルの支配を免れたことで、世界の文化とは違った歩みを始めます。

欧州ではモンゴルの支配によってもたらされたコショウなどの香辛料が浸透し、西洋料理に欠かせない料理となり、モンゴル支配の終了後も東洋に香辛料を求め、それが「大航海時代」へとつながっていきました。

一方で日本では香辛料の食文化が移入されず、素材を生かした独自の食文化が発展します。貪欲に味覚を求めるのとは違う道をたどったのかもしれません。

そして「昭和天皇が普段召し上がっていた献立は、意外にも質素なものでした。それはごくごく一般的な、家庭の食卓に並ぶものと同じ料理です。」とのこと。

 

さて、本の中ではさまざまな「こぼれ話」も語られております。

いくつかご紹介すると、天皇陛下や皇族方に日常のお食事や、宮中行事の際に饗宴、茶会などの料理を作る部署を「宮内庁大膳課」というそうです。大膳課はさらに5つの係に分かれ、第一係が和食、第二係が洋食、第三係が和菓子、第四係がパンと洋菓子、第五係が東宮御所担当、となるそうです。

へえ、やっぱりそれぞれの一流の人たちが腕を振るっていたんですね!

お食事はいつも5~6人分、作るそうです。天皇・皇后両陛下の他、栄養をチェックする侍医の方の分、予備の分とおかわりの分、だそうです。気になる「御毒見役」は、いないそうです。そこは時代劇と違うんですね。

で、厨房のある大膳課は「宮殿」と言う建物にあるそうですが、天皇陛下は普段、「吹上御所」にお住まいのため、建物が別々なんだそうです。
そのため、大膳課の厨房では下ごしらえまでをして、主膳さんが岡持ちに入れて車で吹上御所まで運び、最後の仕上げは吹上御所の厨房で行ったそうです。完成した料理は、陛下がお食事をされる御食堂の隣にある供進所というところで女官さんの手で両陛下のもとに届けられるそうです。谷部氏はおかわりされるのに備えて供進所に控えていた、とのこと。

また、6日に一度、「宿直」もあったそうです。宿直の主な理由は朝食の準備のため、とのこと。また陛下が「およふかし(夜食)」をご要望されたときに備えるためもあったとか。でも「およふかし」はほとんどなかったそうです。

「(昭和天皇)陛下は規則正しく1日3食を守られ、間食は召しあがりませんでした。また陛下はお酒を口にすることもありませんでした。晩餐会などでの乾杯も口をおつけになる仕草だけで、おそらく生涯に一度もアルコールは口にされなかったのでは、と思います」とのこと。

庶民の方がよっぽど豪奢で自堕落な生活だなあ、と心苦しくなる一文。

 

さらに食器についても記述があるのですが、なんと普段の食器は一般に市販されているものが使用されている、とのこと!!ええ!意外!!てっきり人間国宝が作った器やお箸を使っていると思っていたのに!

おいおい、海原雄山の方がよっぽど贅沢しているよ!!あのおっさんのこだわりが異常だったことがわかりました。
また昭和天皇とのエピソードも紹介されています。

宮内庁の大膳課に勤めているといっても、普段、天皇陛下に直接お目にかかってお話しする機会などまずない、とのこと。
そんな谷部氏ですが、四半世紀あまりも大膳課に勤めて、たった一度だけ、昭和天皇から直接お言葉をかけてもらったことがあったそうです。

それは昭和45から46年ころに開かれた「菊栄親睦会」でのこと。菊栄親睦会とは、年に一度、皇族と旧皇族のみなさまがお集まりになる会とのこと。

その時の親睦会は立食パーティー形式で行われ、模擬店を設けて列席の方々に料理を直接お楽しみいただいたそうです。
当時、谷部さんは24,5歳で、初めて天ぷらの担当になった、とのこと。他の料理ならお皿に盛っておしまい、なのだそうですが、お寿司は時間が経つと乾いてしまうし、天ぷらも時間が経つと湿ってしまうため、その場ですぐに料理する必要があったそうです。

で、天ぷらコーナーも模擬店形式なので、相手と直接、対面することになったそうですが、いつも通りに黙々と仕事をこなしていたそうです。
そうして相手から注文を聞き、たんたんと揚げていたところ、ふと気が付くと、なんと昭和天皇が目の前にお立ちになっていた!続きは中身を見てのお楽しみ。

 

こちらの御本は、いつも書籍を御寄進いただいている方からいただきました。本当にありがとうございます。

 

 

 

 

2、天皇陛下が愛した洋のレシピ   窪田好直   河出書房新社

昨年放送され、大きな反響を呼んだドラマ「天皇の料理番」。ご覧になった方も多いかと思います。

2冊目に御紹介する本の著者は、若いころにドラマの主人公である秋山徳蔵に料理を仕込まれた、とのこと。

一冊目が「和」であったのに対し、こちらは「洋」。そして内容ですが、こちらは皆さんが憧れる「華やかな宮中料理」が盛りだくさん!!

「牛ロース肉蒸焼」「ソーセージと野菜のポトフ」「牛フィレ肉のステーキ」などなど、秋山徳蔵伝来の一級フランス料理の数々!!

一般の家庭料理と同じことに感心しつつも、やっぱりどこか「憧れ」を再現してほしい気持ちもあったのも確か。

このレシピ本は、そんな「宮中料理」の夢の世界を教えてくれます。

さらに後半には、気になっている人が多いであろう、「園遊会」で参加者に供される料理も紹介されている!!

これを見ると、なんだか宮廷で料理を食べている気分になります。

ぜひ、皆さんも妄想しながらご覧ください。その際、数日前に御紹介した、池田ワイン城の画像を思い出すと、なおさら良い!!!

 

 

 

 

 

日本の文化の中心では何が食べられているのか?一度は考えたことがあるのではないでしょうか?

この本を読んで、宮中の生活を疑似体験してみましょう!!

 

 

 

また、天皇・皇后両陛下は、地方への巡幸も頻繁にされていますね。

その際、各地で問題になるのが、どのようなお食事を用意するか、だそうです。

それも広い意味では「宮中料理」ですよね。

北海道にも巡幸されているので、その際に供された各地の「宮中料理」を集めたレシピ本も見てみたい気がします。