審美歯科

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細胞乗っ取り作戦 赤痢菌 その2

それでは赤痢菌の「乗っ取り」作戦をお話しします。

 

赤痢菌の感染場所は大腸です。大抵の細菌は胃酸や消化液の酸に溶かされてしまうのですが、赤痢菌は酸に強い性質があるため、胃酸や消化液の海の中でも悠々と泳ぐことができます。そのため、口から侵入した赤痢菌の数が少量であっても、酸の海を確実に生き延びるため、少ない量でも感染が成り立ってしまいます。

 

さて、酸の海をものともしないで感染目標である大腸の腸管上皮細胞にたどり着いた赤痢菌ですが、なんと酸には強いものの、サルモネラ菌などのように細胞内に侵入する手段を持っていません。

赤痢菌は腸管上皮の厚い壁を破る術を持っていないのです。

ではどのようにして上皮細胞内に侵入するのか?

赤痢菌は上皮細胞の正面から突破を試みるのではなく、裏口に回る作戦を取っています。

 

 

 

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これは腸管上皮に赤痢菌が近づいてきた様子です。

図の中央を一列に並んでいるのが大腸の上皮細胞。ヒダヒダは微絨毛です。この上皮細胞の列の下側が人体内部、上は酸や消化液のある腸管の管の中です。

上皮細胞の列に混じっている緑の細胞は「M細胞」です。

M細胞は腸管上皮細胞の「壁」にところどころ点在しています。M細胞には微絨毛はありません。

M細胞はエンドサイトーシスによって異物を取り込んで、上皮の反対側(微絨毛の有る側の反対側)に待機しているマクロファージなどの免疫細胞に提示します。「こんな奴が侵入して来たぞ!」と報告する係、といったところ。

 

 

サルモネラ菌は、この上皮の防壁(オレンジの部分の細胞)を通り抜けることができますが、赤痢菌にはその能力はありません。そこで赤痢菌は、「M細胞が異物を取り込む」という性質を利用して、わざとM細胞に取り込まれるのです。

 

 

 

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上の図のように、赤痢菌はM細胞にわざと取り込まれます。

M細胞は免疫細胞に侵入者を提示する(知らせる)ための細胞のため、M細胞内では異物を消化する機能はありません。あくまでも情報伝達のための細胞です。

そうしてM細胞に取り込まれた赤痢菌は、マクロファージに手渡されます。

 

 

 

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こうしてマクロファージに乗り移って上皮細胞の裏側に出てきた赤痢菌。

しかし赤痢菌のいる場所は、白血球の中。白血球は異物を取り込む(食べてしまう)と、強力な消化酵素を出して消化してしまいます。

サルモネラ菌は、ここで白血球に内側から悪い物質を注入して、その消化酵素を出さないようにしてしまい、白血球の中をむしろ安全な環境にしてしまいますが、赤痢菌はその手段も持っていません。このままでは白血球の内部で消化されてしまう!

そこで赤痢菌は、自分が消化されるよりも早く、白血球内部に3型分泌装置の針を刺して、悪い成分を注入します。この成分は、サルモネラ菌のように白血球を安全な場所に変えるのではなく、白血球にアポトーシス、すなわち「プログラムされた細胞死」を起こさせてしまうのです!!

「プログラムされた細胞死」とはなんなのか、ですが、多細胞生物における、不要となった細胞の計画的な自死、のこと。ここを話すと長くなってしまうので(と、言う事は面白い部分でもあります)、とってもざっくりとお話しすると、細胞には不要となれば自ら死を選ぶことがあらかじめプログラムされている、とでもいえましょうか。

癌細胞は、実は日々、人体のどこかで発生しているのですが、それが拡大しないうち、「がん細胞」になった段階でアポトーシスによって自死され、癌の拡大が防がれています。
話を戻すと、赤痢菌は悪い成分を注入して、白血球にあらかじめ存在している「自死のためのプログラム」を起動させ、自分を飲み込んだ白血球を自死させることで、白血球から脱出してしまいます!!

 

なんと白血球の生殺与奪の権利を握ってしまうのです!!

 

白血球から脱出した赤痢菌。今後、どのように細胞に感染するのでしょうか?続きます。