審美歯科

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かつて小樽に妖精の国があった

  • Date / 8月 28th, 2016
  • Category / 雑談

今回は、かつて掲載した記事の再掲載です。

流し読みするには最適(?)の内容となっておりますので、どうぞ。

 

 

 

 

随分昔の話ですが、学生時代、小樽に地ビールを飲みに行ったことがありました。

小樽の地ビールは、運河沿いの倉庫群の一つにあり、概観はレンガ造りの重厚な感じがあって、それがまた、まだ行ったことも無い遠いドイツの雰囲気を感じさせて、なんとなく「本場で飲んでいるような気がするんじゃないか」と思ったわけです。

そう考えると小樽運河はまさにセーヌ河。麗しいセーヌの流れを横目にビールを飲む。なんとも贅沢な気がしてきます。(え?ドイツにセーヌ河は無いって?)

そんな期待とともに、小樽ビール館のドアを開けたわけです。

すると、いきなり、「ドイツ風」の衣装をまとった若い女性がやってくるではないですか!
アルプスの少女ハイジとか、大草原の小さな家、とかに出てきそうなアレです。(え?どっちもドイツと関係ないって?)

そして女性は、高いテンションで院長(当時学生)にいいました。

「妖精の国へようこそ!!」

どうやらそのビアホールは「妖精の国」をイメージしていて、「ビールの妖精がビールを作っている」という設定がなされているようでした。(院長の推測120%) 確かに内装はどこか、グリム童話とかアンデルセン童話を思わせるような、そんな感じ。

で、その妖精さんは自己紹介の際も一生懸命な動作で、出迎えてくれました。

店内を見回すと、店員さんは全員妖精の衣装。カーチャンと同じくらいと思しき女性まで、妖精の衣装。しかし表情は厳格そのもの。男性は、小人の妖精のような感じ(だったと思う)。

で、その妖精さんがテーブルまでエスコートしてくれるわけですが、到着するまで「王国」内の色々なことを説明してくれるわけです。子供ならワクワクするかもしれないけども、大人の身だと、細かい「王国の設定」は、ちょっと気恥ずかしい。でも、相手もお仕事でやっていること。良く見るとその妖精さんからも少し恥じらいを感じます。院長たちと妖精との間には「お願い、何も言わないで下さい!」「わかってます。わかってます」という、一種の大人の「あうんの呼吸」が出来上がっていました。

そして到着したテーブル。早速ビールのメニューが披露されたのですが、さすがは地ビールのホール。品揃えが豊富。

そしてそれらについても、件の妖精さんが親切に教えてくれるのです。

で、その時の内容を良く覚えていません。なんとなく、「妖精の国の設定用語」が満載だった気がするのですが、当時は地ビールのことなど詳しくなかったので、「ピルスナー」「エール」「ヴァイツエン」などの意味も知らず、これらも「妖精の国の魔法のことば」の一つと思っていたかもしれないです。とにかく、それまでに知らなかった言葉がたくさん出てきて、それをまたホール中に聞こえる大きな声で、妖精風に話してくれるものだから、周囲の好奇な視線を感じずにはいられません。ただでさえ小心者の院長。内心、「勘弁してくれ!」と繰り返していました。

どうにか注文を終え、妖精たちは去っていきました。つかの間の静寂が訪れます。思えば店に入ってから今まで、ずっと「妖精用語」を聞いてきた気がする。あまりにも矢継ぎ早に「妖精王国の設定」のお話を聞かされたものだから、正直、何も覚えていません(苦笑)。ただひたすら恥ずかしかった、という記憶だけあるのみ。

ほっとした時にふと思ったこと。「これは大変なところに来てしまった!」

そしてついにビールが到着。

そこで、妖精の国を訪れて以来、最大級の事件が!!

例の妖精さんがジョッキを持ってきてくれたのですが、ジョッキをテーブルに置くや否や、大きな声で「それでは妖精と乾杯してください!」と宣言!どこからかもう一人の妖精もやってきて、「一緒に乾杯しましょう!」とおっしゃるではありませんか!

しかも妖精が乾杯するためのジョッキというのが、妖精の首にかかっているプラスチック製の小さなジョッキ!!この時、もう一人友人と来ていたのですが、そっちも気まずそうにしています。

そして妖精がこの日一番の甲高い声で「かんぱーい!!」と叫びました!!

おもむろにジョッキを合わせる大人2人+妖精2人。しかも、かんぱーい、をやけにロングトーンでやってくれたため、乾杯シーンが長くなる、という事態に!!ホール中に響き渡った乾杯の声のため、ホール中のお客さんの視線が、院長のテーブルに集まることに!!

小心者の院長、すっかりやられていました。心の中で「はやくはやくはやく!!!」「みんな見てる!こっち見てる!!こっち見てるゥゥッ!!!!」と繰り返します。右手にジョッキを掲げつつ、顔は下を向く。なんとも奇妙な乾杯でした。

ようやく妖精たちが去って周囲の視線も感じなくなり、ビールを飲んでいると、違うテーブルから「かんぱーい!!」の声が!そこではカップルが何とも気恥ずかしい感じで、ちょっと笑いをこらえながら乾杯する光景が!
妖精たちの必死な演技と、カップルの冷めた姿がギャップを感じさせます。他のテーブルからも「あそこでもやってる」とひそひそ話が聞こえていました。ああ、やっぱり。おそらく院長の時もささやかれたことと思われます。

で、最初の一杯がそんな感じであったため、なんとなくシラケてしまい(気持ち、わかりますよね)、結局一杯飲んだだけで席を立ちました。「帰国」の際も、妖精さんたちが色々と話しかけてくれていたと思いますが、失礼ながら一刻も早く経ち去りたい、という気持であったため、覚えていません。

 

それから10年以上経過。

開業の2年前に、その妖精の国に行ってみたところ、地ビールのビアホールではありましたが、すでに妖精たちはおらず、「ドイツ風」の衣装を着た店員さんはいたものの、それは本場の雰囲気を表わす程度の控えめなもの。シックなお店の雰囲気に合っている感じ。

やはり、やり過ぎのあまりウケなかったのでしょうか?

当時は、「この人たちはなんて恥ずかしいことをやっているんだ」とおもっていました。申し訳ない。

でも、ひょんなことから人を雇う立場になってしまった今、彼女たちに感心してしまいます。

仕事とはいえ、本人たちも恥ずかしいであろうことをやってのける。仕事に対する責任感の強さと使命感を感じます。

入社後、もしくは面接で決定の連絡を受けた後、「じゃあ明日から妖精やって」といきなり言われ、妖精の演技練習をする、ということを、果たして何人の人ができるでしょうか?

院長はアルバイトを始めたとき、声を出すのが恥ずかしくて「いらっしゃいませ!!」すら満足に言えませんでした。大きな声で話す、というのはなかなか勇気のいる事です。でも、お仕事である以上、出さなければならない。その苦労を知っているからこそ、その上で妖精の演技もしなければならない心境が察せられ、そして、大いに関心もしてしまいます。

現在、就活中のみなさん。飲食店のアルバイトで大きな声を出す訓練をしておくのは、決して無駄な事ではありません。

 

最後に、あの時の妖精さんたちに、心から拍手を送ります。あなたがたこそプロフェッショナル!!