審美歯科

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「噛むこと」は食中毒予防の基本です!!

最近、「アニサキス」という言葉を耳にする機会が増えたかと思います。
芸能人の方がアニサキスの被害にあったことで、注目されました。

アニサキスの名前は、多くの方がきいたことがあると思います。

そのアニサキスの予防の一つとして流布されていた「よく噛むこと」について、最近、ネット上などで「噛むだけではアニサキスの感染を防ぐことはできない」とする記事が増えています。

 

ある記事の中では「厚生労働省はアニサキス対策として「よく噛む」を挙げていない」とし、だから噛むことは食中毒の予防に意味が無い、というニュアンスの内容になっています。

また、ある保健機関の方のお話として
「確かにアニサキスは大きく損傷したり千切れたりすれば動かなくなります。しかし、どれほどの強さで何回噛めばアニサキスが損傷して胃粘膜に侵入しなくなるかという科学的データは、現時点ではありません」
という発言が掲載されています。
そして「噛むことはアニサキスの予防に役立たない」という定説を覆した、という結論となっています。

 

 

まず、自分に限らず歯科医ならだれでも、

「噛んでさえいればアニサキスの感染を予防できる、というのは間違いだ!」

という一文を見れば「当たり前だ!」と思うはず。

 

「噛む」ということ、たった一つで予防などできません。

 

でも、だからといって「噛むことは意味が無い」とすることには強く反対いたします。

 

厚生労働省をはじめ、公的機関でのアニサキスによる食中毒の予防は「人体に入れない」ことが大前提となっているため、人体に入った後の口腔内での予防の効果について、考慮されていないのかもしれません。

また、この説の基本は「噛むことでアニサキスを傷つける」というもの。

噛むことの最大の目的は、口に入ったものをかみ砕き、すりつぶすことですが、それだけではありません。噛むことで唾液の分泌が促進されます。

唾液の成分には殺菌作用のあるものや、消化を促進する作用のあるものなどが含まれているため、よく噛んで粉々になった食片や異物を唾液に触れさせて、唾液での殺菌・消毒を行ない、これを胃に送ることで胃での消化を助ける、という効果もあります。

 

昨年、札幌歯科医師会の西支部と手稲支部は、合同で開催した学術大会に、岡山大学小児歯科に長年在籍され、現在はモンゴル医科大学の客員教授をされている岡崎好秀先生をお招きしました。

岡崎先生の講演はとても興味深い内容だったのですが、その中でも強烈に残っているお話があります。

 

岡崎先生は聴講者に対し、

「あなたが砂漠の中を何日も放浪し、体力の限界が近づいてきたとします。その時、泥水の水たまりを見つけました。水分を摂らないとすぐに死んでしまうが、この水を飲むと確実にコレラに感染してしまう、という状況の時、あなたはこの水を飲みますか?」

と質問されました。

 

皆さんなら、どうします?

 

先生は「私なら飲む」とおっしゃいました。

それも「よく噛んで飲む」と。

 

この場合の「よく噛むこと」は、「細菌をかみ砕いて消化しやすくするため」という意味ではなく、よく噛むことで唾液の分泌を促して唾液の殺菌成分に馴染ませるため、というもの。

 

またお話の中では第二次大戦中の南方でのお話もありました。戦争末期、南洋の戦線では食料の供給が乏しく、またたとえ送られてきても、その食料は腐っていた、とのこと。

それでも兵士たちは食べなければ死んでしまう。

そこで従軍していた戦医は、よく噛んで食べることを指導したとのこと。

 

上記の例は、極限状況下での極端な例。実際には、泥水を飲んだり、腐ったものを食べてはいけません。

一方で、「噛むこと」による食中毒の予防効果については、認識を改めるべき、と思います。。

 

 

アニサキスのお話に戻りますが、今回の内容は「噛んでさえいれば、アニサキスの食中毒を防ぐことができる」と言いたいのではありません。

 

加熱、冷凍、手の消毒とともに、「噛むこと」はとても重要な「食中毒予防の要素」です。

 

どうもネット上の情報は、「これは正しい、これは間違っている」と「ゼロか100か」になりがちですが、食中毒の予防は、どれか一つをやっていればいい、というのではなく、様々な要因を失くしていき、できることを確実に行うことで発生の確率を低くしていくことが大事。

 

加熱、冷凍、消毒、噛むこと。

 

これらすべてが重要だと思います。

 

また、飲食店などでは「加熱、冷凍、保存」などは店舗の責任となります。その際、「噛むこと」は利用者にとっての重要な「自衛手段」にもなります。

夏の外食でのお子さんの食中毒をご心配の方は、お子さんに「よく噛むこと」を教えてあげてください。

 

なお、歯周病菌が増加していたり、口腔内の清掃状況が悪化していると、アニサキスに限らず食中毒にかかる可能性が高くなりますので、食中毒シーズンの前に歯科医院での歯の清掃を受けることをお勧めいたします。