審美歯科

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「糖」について その6 スクロースと虫歯について ① (追記アリ)

なんとウダウダしていたら「歯と口の衛生週間」が終わっちゃった!!

でも糖についてのご紹介は、しばらく終わりそうにありません。そこで当ブログの中では、もう少しだけ「歯と口の衛生週間」を延長させていただきます。

 

さて、今回からスクロース=砂糖と、むし歯の関係についてお話しします。

皆さん、「砂糖が虫歯の原因になる」と、昔からイメージをお持ちかと思います。虫歯や歯周病といった口腔の疾患は、砂糖だけで発症するわけではない、ということも社会にかなり浸透しましたが、それでも砂糖は歯に悪さをする代表格という印象があると思います。

実際、砂糖=スクロースは、むしば菌として有名なミュータンス菌にとって、非常に最適な栄養源になっているのです。

今回は本文記事から範囲を少し広げて、ミュータンス菌とスクロースの関係についてお話ししようと思います。

 

 

お口の中にはムシバ菌以外にも、善玉・悪玉合わせて多くの細菌がいることは何度もお話ししてきました。

その細菌がどうやって最初に歯にくっつくか、からお話を始めようと思います。

 

歯の表面には唾液に含まれている成分からなる「ペリクル」という物質で覆われます。このペリクルは、歯ブラシや歯科医院での歯の清掃などで歯の表面をきれいにしても、直ちに歯を覆ってしまいます。
ペリクルは歯を覆う事で歯を保護する働きをするのですが、一方で細菌を歯に引っ付きやすくするという性質もあります。

それによって、細菌たちがペリクルを通して歯に付着します。

これじゃあ、ペリクルは歯を守っていないじゃないか!と思われるかもしれませんが、付着する細菌は悪玉菌だけに限りません。善玉菌も付着します。そして歯の表面が無菌である、という状況にはなりません。

虫歯・歯周病予防として、歯の表面に多くの善玉菌を付着させる、ということも重要な要素の一つとなります。

 

こうして歯の表面に付着した細菌ですが、この細菌自体も他の種類の細菌とくっつくことができます。この時の細菌同士の結合は、同じ種類の細菌だけに成立するということではなく、全く種類の異なる細菌種とも結合します。

このようにして、ペリクルに付着した細菌の外側にさらに細菌が結合し、これが繰り返されることで多くの細菌が集まってくることになります。

 

さて細菌同士で結合したものの、その結合の仕方は「手を繋いでいる」状態と言えます。まだ細菌同士の間には隙間があります。

細菌は、その体の表面に「グルコシルトランスフェラーゼ:GTF」という酵素を持っています。この酵素を用いてスクロースをグルコースとフルクトースに分解し、分解でできたグルコースを鎖状に繋げていきます。細菌がGTFを使って二糖(スクロース)を単糖(グルコース)に分解し、その単糖を繋ぎなおして新たに多糖を作っている、という感じ。

このGTFによって新しく作られた多糖を「グルカン」と言います。

細菌、特にミュータンス菌は種類の異なるGTFを複数、持っているため、そのGTFの種類の違いによって性質の異なるグルカンが生成されます。

その内の一つのグルカンに、水に溶けない「非水溶性」で、粘着性がとても高いものがあります。

この非水溶性グルカンが細菌の外側にて作られて、細菌と細菌の間を埋めていき、またその粘着性から歯の表面への付着がさらに強固になり、他の細菌との結合も強めます。このように細菌の外に存在するため、この非水溶性グルカンを「菌体外多糖」とも呼びます。

そして細菌同士の塊となってプラークというコロニーを作り、その塊の周囲も覆ってしまいます。

このような構造体をバイオフィルムと言います。

このバイオフィルムは歯ブラシじゃないと除去できませんし、さらに成長すると歯ブラシでも取れなくなるため、歯科医院での機械による清掃が必要になります。

こおのプラークですが、口腔内にできたプラークバイオフィルムは、唾液の中のミネラル成分に曝されているので石灰化していきます。これが「歯石」です。

それまで多糖で守られていた細菌のコロニーでしたが、その外側が石灰化によってさらに頑丈な材質で覆われることでさらなる要塞化を果たします。周囲が石になってしまうと歯ブラシでの除去も不可能となり、また歯石の中の酸素が無くなり、酸素が嫌いな細菌が増え始めます。地球には酸素の無い状況じゃないと生息できない生物もいるのです。そして酸素が嫌いな細菌にかぎって、人体への悪さをする度合いも強くなっていくからタチが悪い。

 

とにかく、歯石という目に見えてわかりやすく、舌触りの感触でもわかる物体ができていなくとも、成長しつつあるバイオフィルムは歯ブラシでも除去しづらくなっていますので、例え歯石ができていなくても歯科医院での定期的な清掃をすることをお勧めします。

 

 

さて、ここで登場した「プラーク」という言葉ですが、歯科では「歯垢」を表していますが、医科の他の部位で使用される際はちょっと意味が異なるかもしれません。

歯科でいう歯垢(デンタルプラーク)では、上記のように「細菌の巣」のようなものを指していますが(複数意見アリ)、一般的には歯に着いた食べかすなども指して言われることが多いですね。

 

この「定義」というのもやっかいで、ちょっとビクビクしながらお話しすると、参考書によって異なる場合もあるし、各歯学部の教授の方針によっても異なり、場合によって論争になったりすることもあるので(ある種の歯科のレントゲンの撮影方向も教授の考え方によって異なったりする)、ここでは「これだ!」と特定したくありません。また、数年後に変わったりもするし。

また近年、医科歯科の垣根の関係ない「バイオフィルム」という考えが広まってきて、さらにややこしいことになりつつあります。歯垢もバイオフィルムの内に含まれるそうなんですが。

 

このバイオフィルムが近年、歯科の病態を考える上で重視されていまして、むし歯にしろ歯周病にしろ、単独の細菌が引き起こすのではなく、バイオフィルムという細菌のコロニーが連携して起こしていることがわかってきました。

 

 

 

・・・・と、色々と調べたり裏どりしているので、ちょっと時間がかかっています。

 

 

6月13日追記

 

歯石についてですが、体質的に歯石ができやすい方もおられるので、一概に「細菌が多いから歯石ができやすい」とは限りません。