審美歯科

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日本病巣疾患研究会の学術大会に出席しました。その3

間が空いてしまってすみません。

さて、東京滞在初日の夜に楽しんでしまったせいか、2日目の朝、なんと寝坊してしまいました。

しかし、なんとしても大会には出席しないといけない。

なんせ2日目の最初の演目が、

「cnm遺伝子陽性streptoccocus mutans株の口腔内存在はIgA腎症患者のう蝕と蛋白尿に影響する」

でしたので。

 

この題名の中に「ミュータンス」という文字が見られます。

ミュータンス菌と言えば皆さんご存知(?)、長らくむし歯を起こす原因の菌、と言われていた菌です。なお、ミュータンス菌は虫歯の「主犯」ではありますが、ミュータンス菌だけで虫歯が成立するわけではないことは、当ブログの「糖について」のところでお話ししていますので、どうかご覧ください。

 

で、ですね、題名の通り、ミュータンス菌が口の中にあると腎障害のある方にも影響を及ぼす、というだけに、注目していたのですよ、出発前から。

 

この講演の内容は、虫歯予防や皆さんの健康とも関係が強いと思われますので、少し詳しくご説明いたします。

 

まず題名中の「IgA」についてお話しすると、これは唾液の中に含まれる免疫成分の一種で、タンパク質でできています。

IgAは唾液の他に、涙や鼻汁、乳汁、消化液などに存在する免疫グロブリンの大部分を占めている、免疫の要の物質。このようにIgAは口や鼻などの気道の粘膜や、小腸の粘膜に多量に存在しています。

気道にしろ、小腸にしろ、外からの物質が人体に侵入してきた際に、最初に接する部分。そのため、IgAは最も早く異物と反応する免疫成分の一つ、と言えます。

また唾液に含まれるIgAは虫歯に対しても抑制的に働き、ミュータンス菌が多いとIgAの分泌量が増え、また口腔内の細菌由来の酵素や毒素の活性を阻害したり、歯垢ができることを邪魔する働きがある、と言われています。

つまりIgAは、虫歯菌に対抗する働きをしています。

 

口や鼻、のど、などは外の空気が直接、当たる場所。人体でも「むき出し」の部分です。そのため表面には無害・有害入り混じった、外からの様々な物質が存在しています。この粘膜表面に住んでいる有害物質や細菌・ウイルスを取り出し、注射して粘膜の中に直接、送り込むと、人体はたちまち拒絶反応を起こし、悪寒、発熱、下痢、あるいはそれ以上の、重篤な症状を発症してしまいます。

日常生活でそのような症状が起きないのは、粘膜の表面に存在するIgAやそれ以外の免疫成分が細菌を殺したり、抑制したり、コントロールしているからです。

このIgAは乳汁中に多く存在します。それは生まれたばかりの赤ちゃんを、外界の物質から守る働きをしています。IgAは胎盤は通過しないため、妊娠中に母親から赤ちゃんに受け継ぐことはできません。しかし、腸管は通過するので、授乳によって母親から赤ちゃんに運ばれます。

 

この人体のために存在しているIgAですが、多すぎると人体に悪影響を及ぼしてしまいます。なお、これはIgAに限ったことではありません。他の免疫物質でも発生します。この自分を守るはずの免疫系統が正常な細胞や組織、つまりは人体を攻撃して起こる症状を「自己免疫疾患」と言います。
その自己免疫疾患の一つに、腎臓にIgAが過剰に沈着して起こる「IgA腎症」があります。

IgA腎症は、血尿やネフローゼ症候群を伴い、末期には腎不全にも至る疾患です。

 

発表では、上気道(口や鼻、のど)に炎症が発生した後に血尿が悪化すること、歯周病菌との関連が挙げられ、IgA腎症が口腔・上気道と関連があるるとしてき。。
研究を行ったチームでは、むし歯を起こすミュータンス菌とIgA腎症との関係に注目し、その中でも「cnm」というタンパク質の遺伝子をもつミュータンス菌が陽性の場合、IgA腎症の発症も高頻度になることが明かされていました。

 

そしてミュータンス菌が多いと、IgA腎症になりやすい、ということが示唆されていました。

また、ミュータンス菌はこのほかにも、心内膜炎、潰瘍性大腸炎、その他の疾患、の発症や憎悪と関係していることも説明されていました。

これまで歯周病の主要菌であるP.gingivalis菌が、心内膜炎や早産、糖尿病の悪化に関連していることが明らかにされていましたが、むし歯菌も同様に、全身に影響を及ぼします。

 

ミュータンス菌は、むし歯の中心となる存在です。しかし、もし口以外の他所の部位で発症すると、違う症状を呈してしまいます。

 

またむし歯が多いとミュータンス菌も多くなり、それに対抗するための免疫物質であるIgAも多く分泌されます。すると、今度は多くなりすぎたIgAが口の中などの局所にとどまらず、全身に流れだし、口や鼻、のどから遠く離れた腎にたまって悪影響を及ぼしてしまうのです。

敵を攻撃するはずの武器も、多くなりすぎると自分への脅威となってしまう。

つまり、ミュータンス菌が直接、悪さをしなくても、連鎖反応でどこかに悪い結果が出てしまうのです。

人体は非常に精巧にできていますが、そのバランスは難しく、壊れやすい。

 

これを防ぐには、やはり虫歯の予防や治療が必要になってきます。

 

むし歯の治療、歯周病の予防は、決してお口の健康だけに限った効果があるのではありません。全身の健康にも影響があるのです。

 

 

 

 

なんと、最初の講演だけでこんなにはなしてしまった!続きます。