審美歯科

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フッ素について、聞いていただきたいこと

宇都宮で学会に出席したお話しがつづいておりますが、ここで休憩して、今回は、フッ素についてお話ししたいと思います。

 

宇都宮での記事において、当初、「フッ素に関して、日本は遅れている、北海道は最も遅れているのではないか」という記述をしていました。

これは後に削除しましたが、きつすぎる表現であった、と後悔しております。

 

まず初めに言っておきますと、フッ素はあくまでも予防処置であって、絶対にやらなければならないものではない、ということ。

 

フッ素塗布を行う、行わない、は、最終的には各個人に選択する権利がある、と自分は考えております。

 

自分が「日本は遅れている、北海道は最も遅れている」と記述した真意ですが、北海道におけるフッ素についての議論を、間接的ながら耳にする機会もあるのですが、その根拠が「なんだかなあ」と言わざるを得ないものが多いと感じまして。

これまで、フッ素を塗ると「骨硬化症になる」というものから、「ダウン症になる」「IQが下がる」等の出処のあやしいものまで、多くの不安を、保護者の方々から受けてきました。

 

骨硬化症については、ネットに画像もあるので信憑性が高いようにおもわれますが、よくご覧いただくと、その「画像」の多くは中国の南西部やイランなど、限られた地域のもの。これらの地域では日常の天然の飲み水の中に、非常に高濃度のフッ素が含まれており、これを日常的に、長い期間、摂取しつづけることで発症しやすくなります。

「非常に高濃度のフッ素を、長年に渡り、日常的に」というところが重要で、アメリカや欧州をはじめ、韓国などのアジアでも行われている「フロリデーション」では、極めて低濃度のフッ素を水道水に含ませているため、中国南西部やイランなどの一部の地域とは異なります。

フロリデーションを行っている地域では、フッ素による健康被害、社会問題は、今のところ、報告されていません。

今年、アメリカのカリフォルニア大学サンフランシスコ校のフェザーストーン教授の講演DVDを見たのですが、欧米では「長い期間、フッ素を塗らない」という実験は、「その人がフッ素から受ける恩恵を妨げてしまう」という理由で認められない、と話していました。

先進国の多くで、フッ素が日常的な権利となっているのは事実です。

 

だからと言って、日本もそうすべきだ!と言いたいわけでもなく。

 

自分が「遅れている」としたのは、虫歯予防について、欧米との単純な比較は、条件が異なるので、あまり意味がないのでは?ということ。

 

当院にも、フッ素の塗布を拒否される方に来院していただいておりますし、友人でも「フッ素はいらない」という歯科医もいます。その友人の場合は、健康被害があるから、ではなく、口を閉じたり口の周りの筋肉を育成すればフッ素は必要ない、という意味での発言ですが。

 

フッ素は歯質を強くする、むし歯になりにくくする、などの効果がありますが、近年はそれよりも唾液のPh(ペーハー)の改善が重視されています。

食事やおやつなどを食べるとペーハーは下がります。でも、その後、唾液の成分によって中性に戻ります。

この「ペーハーが下がる」のは重要で、下がったときに歯からカルシウムやリンなどのミネラル成分が溶けだす、いわゆる「歯が溶ける」状態となります。でも、その後、唾液の力によってペーハーが上昇する時に、歯は今度は周囲のミネラル成分を吸収して強くなります。こうして、歯の表面は絶えず更新されて強さを維持しています。手や足などの皮膚も、生まれてから死ぬまで同じ細胞が続いているわけではなく、絶えず内部から新しく皮膚となる細胞が出てくることで絶えず更新されていますし、骨だって破骨細胞と呼ばれる細胞が古くなった骨を吸収して、骨芽細胞と呼ばれる細胞が新しい骨を作り続けることで、こちらも絶えず更新されています。

なので、ペーハーが下がって「歯が溶けて」、その後にペーハーが上がってカルシウムなどを吸収する、という事自体は、歯の健康を保つうえで、むしろ必要な事と言えます。

なお、フッ素はペーハーが上昇する時にカルシウムの吸収を促進します。

で、ですね、問題は、ペーハーが下がって、上がる、というサイクルが保たれている分にはいいのですが、頻繁にお菓子を食べたり、ダラダラと食べたり飲んだり、キャラメルなどのとても甘くて歯にくっつくお菓子を食べるなどすることで、酸性の状態が長く続いた場合です。

当然ながら、酸性の時間が長くなることで、「歯が溶ける」時間が長くなってしまいます。

また、バイオフィルムも、前回の記事にあるように、酸性の環境にあると善玉菌が減ってきて、より悪さをする菌が増えてきますし、また善玉菌であっても、酸性の環境では酸を代謝するようになってしまいます。細菌はもともと、酸性の環境で酸を代謝する性質があります。これは「発酵」とも呼ばれる性質で、腸内細菌では、人体はむしろ胃酸などによってわざと酸性の環境にして腸内細菌に「発酵」をさせて、人体では作り出せない重要な栄養素である「短鎖脂肪酸」を作り出します。
この短鎖脂肪酸ですが、それらは乳酸や酪酸などで、これらは口腔内ではむしろ、歯を溶かしてしまいます。

つまり口腔内が酸性の状況ということは、腸の中と似た環境になってしまい、細菌は本来の性質である「発酵」をはじめてしまう。

上記のように溢れた酸は、歯と歯の間にも容易に浸透してしまいます。

歯磨きをすると、歯の表面の汚れを落とすことはできますが、歯と歯の間の汚れは糸ようじなどを使用しないといけません。その上、歯と歯の間に入り込んだ酸は糸ようじなどの清掃機具でもキレイにするのは難しい。歯の表面の酸は、唾液などの効果で中和されますが、歯と歯の間に入った酸はなかなか中和されず、2時間ほど、酸が居座る、ともいわれています。

さらに言えば、もし、お子さんが口呼吸などを行っていると、口の中の唾液が渇いてしまって唾液の中和成分も極めて少なくなってしまいます。また、唾液の中にはカルシウムなどのミネラルが過飽和な状態で存在しています。そのため、歯からミネラルが溶けだしても、すぐに唾液のカルシウムは供給されるのですが、もし唾液が渇いてしまっていると、カルシウムの供給源も失われてしまい、歯からミネラルが溶けただけで外から補填されない状態となってしまいます。

この点はとても重要で、5歳くらいで大人の歯が生え始めたとき、その頭を出したばかりの歯はまだ未成熟で、唾液の中のカルシウムをたくさん吸収して成熟しないといけないのですが、もしこの時期に口呼吸やお口をぽかんと開ける習慣があると、十分に成熟することが難しくなり、将来、永久歯が虫歯になる可能性が高まってしまいます。

 

結局、フッ素はとても大事ですが、その前のペーハーの改善も重要と言えます。

 

自分は虫歯予防にフッ素をお勧めします。

 

が、フッ素をしないで虫歯予防をする方法もあります。フッ素塗布をしない、というのも大事な選択肢です。予防処置なんで、個人の自由を妨げてまで強制はできない、と個人的には考えています。

 

 

・・・・・余談ながら、自分は北見出身なのに、タマネギが嫌いなのです。あの食感がとても苦手。とても小さいころに「嫌だ」と思ってしまった感触が、いまだ抜けないのです。

お子さんの中には、フッ素の味が嫌で、塗布すると吐いてしまう、という子も、たまにいます。それでもお母さんは、歯のために、とフッ素を塗ってください、とおっしゃるのですが、あくまでも予防処置なので、そこまで無理しなくてもいいです、と説明しています。

 

 

フッ素に関係なく、定期的に歯科医院で健診を受けることをお勧めします。