審美歯科

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脳の発達と睡眠について その2

さて、前回からの続きですが、最初に脳の発達についておさらいしてみましょう。

 

 

①「からだの脳」(脳幹)が成長(0歳~5歳)

②「おりこうさんの脳」(大脳新皮質)が成長(1歳~18歳 中核は6歳~14歳)

③「こころの脳」(前頭葉)が成長(10歳から18歳 中核は10歳から14歳)

 

このようになり、成長する年代も異なります。

講演では上の年齢が繰り返し強調され、必ず①→②→③の順に成長する、と説明されていました。

つまりどんなに頑張っても、①→③と過程を飛ばして成長したり、①を省いて②、③を成長させることはできない、とのこと。

 

お分かりの通り、世間一般で「才能がある」「優秀だ!」とされる部分は②や③であり、特に③の記憶分野や社会的行動などは重視されます。

でも、成田先生は、①が十分に成長していないと、その後の②、③の成長は不十分になる、と説明。

成田先生の著作の中では、いくつかの例もあったのですが、たとえば幼稚園のA、B、C、Dという4人の子供がいて、Bくんは学習面でとても優秀で、幼稚園にしてひらがなをすらすらと書いてしまう。Cくんは運動能力に秀でていてサッカーが得意で、お母さんはプロも視野に入れている。Dくんは好き嫌いなく食事を食べて残すこともなく、お菓子も食べないのでむし歯も1本もない。 一方でAは毎日、怪獣ごっこをやったり遊びのサッカーをへとへとになるまでやって、夜は疲れてぐっすりと寝てしまう、という幼稚園児には「ありがち」な子。

 

一見すると、Bくん、Cくん、Dくんは、早い時期からスポーツや学習で才能を開花させたように見え、Dくんも聞き分けの良い利発な子、のように思えてしまいます。この3人と一緒にいると、Aくんが見劣りしてしまうかもしれません。

ところがBくんは小学校に入ってから不登校になってしまい、Cくんは小学校でケガをしてしまい、Dくんはお母さんがいないと給食を食べることができない、という状態になってしまいます。一方のAくんはその後も「小学生らしい」生活をしていたのですが、あることがきっかけとなって「獣医になる」と言いだし、自発的に勉強を始めて進学していった、とのこと。

 

上記は著作の導入としての「例」として出されたのでフィクションも入っているとおもいますが、同じ著作や他の著作にはこれに類似した「実例」もあり、ある程度、事実に基づいていると思われます。

 

成田先生はこの現象について、ヒトの土台となる①の段階を疎かにしてしまったからだ、と指摘。

先生は①→②→③の成長段階を家の構造に見立て、①が家の基礎部分となる重要な場所で、一階部分、②はその上にある二階部分、③は家の中の機能を充実させる電気や水道、ガスなどの配線、配管関係、としていました。

 

皆さん、ご想像できると思いますが、家やビルも一階部分がしっかりして大きなものでないと、二階部分をのせることはできませんよね。

細長い一階の上に、やたら大きな2階を作ることはできないし、できたとしても地震などですぐに崩れてしまいます。

Bくん、Cくん、Dくんはまさに細長い一階の上に、大きな2階を作ってしまったようなもので、家に見立てると、実は脆弱な構造であったと想像されます。

近年、不登校や引きこもり、それと反対に「学級崩壊」ともいわれる児童の落ち着きのない行動、いじめの陰湿化についても、「早期教育」の名の下に行われる、一階部分を無視した子育てにも原因があるのではないか、とのこと。

また、「自閉症スペクトラム」や「発達障害」という診断も増えてきていますが、実は本当はそれらに当たらないのに、上記のように一階部分を疎かにした結果、情緒不安定になり、傍から見るとあたかも「自閉症スペクトラム」や「発達障害」のように思えてしまうという状況も増えている、と指摘。

 

生きていくうえで重要な「一階部分」である、「からだの脳」を十分に成長させること、①の次に②を成長させる、という段階をきちんと踏むことの重要性を訴えておられました。

 

ではこの「一階部分」を成長させる方法、ですが、「からだの脳」は、「呼吸や心拍数・血圧」「覚醒と睡眠」「感覚・運動」「姿勢」を司るとのことで、これを鍛えるのは、とにかく色々な刺激を与えてみること。

著作の中では「視覚への刺激」「聴覚への刺激」「触覚への刺激」「味覚・嗅覚への刺激」を挙げられていました。

なんか漢字ばかりで取っつきにく「用語」が並んでいますが、要は触ったり見たり、聞いたり、そして食べたりすること。

 

「その1」で、脳幹は脳神経と接続している、と書きましたが、脳神経には12個あって、国家試験の必須項目なんで必死に覚えた記憶がありますが、この12個はそのほとんどが首から上の部分と神経がつながっているのです。

見たもの、嗅いだもの、食べたものの刺激はダイレクトに脳に送られ、脳幹を刺激します。

 

こうして刺激されることで、神経同士がどんどんつながっていきます。つながりが多くなるほど脳の「容量」や「機能」が充実する、とのこと(加納の解釈も入っているかも)。

なのでこの時期はいろいろなものを見せたり、触ってみるのがいいかもしれませんね。

実は11月28日に、白石区の歯科医で、姿勢や噛み合わせに詳しい江端先生に講演を行ってもらうのですが、その中で江端先生は「這い這い」の重要性を指摘し、這い這いじゃないと成長できない感覚があるとのこと。つい赤ちゃんの立つ姿を早く見たい、と思ってしまいますが、「這い這い」の段階を十分に経験しないと、将来、姿勢に大きな影響が出てしまうそうです。

どうしても「早くできる」ことが、イコール「優秀である」と思いがちですが、早く成長してしまったがために重要な過程を飛ばしてしまう可能性もあるのです。

 

話を戻すと、この時期の「刺激」の中に、「味覚」があります。「食べること」です。

 

ここがまさに、今、重視されていること。色々な刺激があると思うのですが、「食べること」って、その中でもかなり大きな比重を占めていると思うのです。大人だって、一日の生活の中で「食べること」って、大事でしょ?健康とか別にして。

多くの人は、朝出勤とともに「昼に何を食べるか」を考え、午後からの勤務が始まるとともに「今夜は何を食べるか」を考える、と思います。また1週間後に高級レストランでのディナーなんかを予約していると、「どんなものが食べられるのだろう」と、予定日までの日々をワクワクしながら過ごしたりもしますし。

今、来院してくれている子供たちにも「今頑張ったら、クリスマスとお正月に美味しいものが食べられるよ」というと、治療にやる気を見せてくれます。

 

赤ちゃんの時でも「食べること」の大事さは、「空腹を満たす」「栄養のため」とは別に、「楽しみのため」としても重要なのだと思います。

 

また、近年、問題となっている「口呼吸」ですが、これも幼少期どころか離乳食の時からの食事の仕方にも問題の原因がある、と指摘されています。

離乳食の口への運び方も重要だし、また「きれいに食べなさい」と叱ってしまう手づかみ食べも、感覚を養う上でとても重要なのです。

自分はいずれ、「手づかみ食べ食事会」を行おう、と計画しています。まあ、色々と解決しないといけない問題もあるのだけど。

そして、「噛む」ことも重要。「噛む」刺激も脳の直接送られ、脳の中の神経同士のつながりを促します。

 

これに関して「日本学校歯科医会雑誌 124号(平成30年度第一号)に興味深いお話しが掲載されていました。

 

前田隆秀氏の執筆による「学校歯科健康診断にあたって留意したいこと」という記事の中の「咀嚼と脳機能」と題した項目について。

前田氏は「ラットを用いて咀嚼と脳機能に関与する大脳の海馬における神経幹細胞に与える影響ならびに記憶実験を行った」とのこと。

その中で、「生後4週のラットの奥歯を抜いて、粉上の食事(やわらかい食事)を与えたグループ、と、歯を抜かずに硬い固形食を与えたグループ、と、歯を抜かずに粉上の食事を与えたグループ」にて、生後18週になった時点での神経幹細胞の数を測定したところ、「歯を抜いて軟らかい食事を与えたグループ」つまり、奥歯で噛むことができない上に軟らかいものばかりを食べていたグループが神経幹細胞の数が最も少なく、ついで「歯は抜いてないけど軟らかい食事を与えたグループ」つまり奥歯で噛むことはできるけど軟らかいものばかり食べていたグループが少なく、「歯を抜いていなくて固いものを食べていたグループ」が、最も神経幹細胞の数が多かった、とのこと。

また、空間記憶と視覚記憶など、記憶に関しても、奥歯で噛めないで軟らかいものばかりを食べていたグループでは記憶力が低下し、奥歯で噛めて固いものを噛んでいたグループが最も記憶力が高かった、とのこと。

 

この実験は幼児期、学童期を対象にし、実験内容も成田先生の言いたいところと異なるかもしれませんが、「噛むこと」が脳の発達に大きな影響を及ぼすことの裏付けになると思われます。

 

 

また、成田先生の著作でも、育児に関するものでは「食事」に多くの部分が割かれており、育児と食事は切り離すことができないばかりか、多くの部分を占めていることがわかります。

 

生まれてから小学校入学まで、「食べること」「噛むこと」は、とても重要な「育児」であり、「教育」です。

 

お子さんたちに健全に育ってもらうには、早い時期に英才教育を受けるのもいいかもしれませんが、食べることやこの後、触れる「寝ること」「起きること」が重要です。

 

 

 

と、結構長くなったうえに、歯科に偏った内容となりました。成田先生は「食べること」も重視しておられましたが、何よりも「睡眠」を重視していました。

次回、お話しします。