審美歯科

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本棚通信 ゆびしゃぶりと成長についての本

先月、加納は東京で開催された、お口の成育に関する講習会に出席してまいりました。

その内容はブログでもお話ししたとおり。

今回も事前にいくつかの書籍を読んでおりました。

その主なテーマは「指しゃぶり」について。

「指しゃぶり」について、本格的に意識し始めたのは2年ほど前になるでしょうか?

それまでは「歯並びに影響が出るので、できるだけ早いうちに卒乳し、指しゃぶりも辞めさせるべき」という従来の考えを、漠然と踏襲しておりました。指しゃぶりは「悪癖」でしかないので、しない方が良い、と。

その考えが変わったのは、2年前に「あいうべ体操」のマスターコースに出席した時。

この時も「せっかく東京までいくのだから」と、あいうべ体操の提唱者である今井一彰先生の著作をいくつか読んでおりました。

その中で「おしゃぶりを早期に辞めさせることで、口の周りの筋肉の発育が不足し、口が半開きとなって口呼吸の子供が増えてきている」という主旨の記述を見かけました。(思いだしながら書いているので、今井先生の言わんとしているところと異なるかもしれません)

これ以降、様々な講演で「指しゃぶり」の重要性を指摘されているのを聞きました。また昨年4月に東京で受講した増田純一先生の講演では、「手づかみ食べ」など、ともすれば「汚い」「行儀が悪い」とされる食べ方も、成長のために重要なことである、とされていました。

口呼吸の防止、改善には、3歳までに口の周りの筋肉が成長すること、その手段としての指しゃぶりは許されるのではないか、という段階に、自分の考えは至っていました。

 

・・・・・ところが、東京でお会いした先生方の意見はそうでもなく。できる限り早い段階でやめさせるべき、という声の方が多かったように思います。

札幌に帰った後、知り合いの先生方に聞いてみると、やはり指しゃぶりの重要性を指摘する考えを多く伺いました。

これは今後も引き続き、追求するテーマです。口呼吸や口腔機能発達不全症の改善のために、もっと勉強しなくてはなりません。

 

一応、今回、セミナーに参加するにあたって目を通した参考書をご紹介いたします。

 

 

 

1、「ゆびしゃぶり やめられるかな」 著:三輪康子 大野粛英   絵:長嶋八千代 入江牧子   わかば出版

あるところに、王子さまがいました。王子ともなるとさぞかし上品なんだろうと思いきや、王子さまの発音はおかしく、食事の際は下品で、ダンスの際にはお姫様は王子と手を繋ぎたがりません。

「なんでだろう?」

悲しくなった王子さまは、親指を噛んでいました!

理由はお分かりの通り、指しゃぶりのせい。

このあと、王子は指しゃぶりをやめていきます。どうやってだろう?指しゃぶりをやめられないお子さんと一緒にご覧ください。

・・・・・・と、ここまでは至って普通の絵本なのですが、後半ではなんと、実際に指しゃぶりをやめなかった子供の歯並びについての症例写真が掲載されています。また、指しゃぶりをやめさせるための時期、方法、お母さんの体験談、Q&Aなども合わせて掲載!

これ一冊で、お子さんとお母さん、両方のお役にたつこと間違いなし!!

 

 

 

2、「ゆびだこ」 著:くせ さなえ    ポプラ社

もうすぐ小学校一年生になる女の子。でも、いまだに指しゃぶりがやめられない。お父さんもお母さんも、お姉ちゃんも、女の子の指しゃぶりをやめさせようと一生懸命。なのにそれでも指しゃぶりが止められない。

そんなある日、指しゃぶりでできた「タコ」をみると、なんと顔ができているじゃないですか!

それ以来、「指たこ」は、毎日、女の子に話しかけてくるのでした・・・・・。

果たして、女の子は指しゃぶりを止めて、指だことバイバイできるのでしょうか?

 

こちらは純粋な絵本です。

指しゃぶりを続けると怖いことになるよ、という教訓本。お母さんの演出次第で、効果が倍増することでしょう!!

 

 

 

3、「じょうずに食べる 食べさせる  摂食機能の発達と援助」 著:山崎祥子  芽ばえ社

 

こちらはお子さんの「食べる機能」をどのように発達させるか、ということに焦点を絞った本。

授乳のときの姿勢や仕方、離乳食時期、そして幼児期の食事の確立期、などなど、様々な段階での「食事の仕方」について、説明されています。

口呼吸の防止や、口腔機能発達不全症の防止のためには、癖を直す、だけでは不完全。

小さいころからの食事の姿勢や食べ方が、将来の口の周りの筋肉の発育に影響し、それは歯並びやアゴの発達にも及んでしまいます。

「噛むこと」の重要性は、皆さんもご存知と思いますが、それは決して、自然に身に着くものではありません。

離乳食の上げ方、口への持っていき方、などで大きく変わってしまいます。

なかなか大変とは思いますが、「口の育成」にも注意してみてください。

 

 

 

 

 

4、「指しゃぶりにはわけがある」 著:岩倉政城  大月書店

こちらの著者である岩倉政城先生は、東京歯科大学を卒業された歯科医の先生。しかも東北大学大学院助教授も務められたとのこと。同業としては自然と言葉に気を付けてしまうのですが、岩倉先生はこの著書の中で、指しゃぶりを肯定されておられます。

でも、その語り口はとてもソフトで、決して「難しい専門書」などではありません。

むしろ、お子さんが指しゃぶりをなかなか止めない、と悩んでおられるお母さん方を安心させるような、思いやりのある文章です。

指しゃぶりについて、新たな見方が得られると思います。

 

 

 

 

5、「子どもの「手づかみ食べ」はなぜ良いのか?」  著:山口平八 清水フサ子   IDP出版

こちらの著書である山口平八氏、清水フサ子氏は、ともに歯科医ではありません。長年、障がい児の教育や、保育園の運営などを通して、多くのお子さんを見守り続けてきた方々です。

内容はタイトルの通り「手づかみ食べ」の重要性について、指摘されています。

人間の感覚には成長の段階があって、まず、口の中の感覚が最初に成長します。これはお母さんの乳首から刺激を受けるため。そして次に感覚が成長するのは手です。口でしか社会に触れることができなかった赤ちゃんは、次にいろんなものに触れて、成長しようとします。

この著作の中で、清水氏が運営している保育園、幼稚園では、手づかみ食べを重要視しているとのこと。

その効用や、必要性についてもとても詳しく述べられています。

また、ハイハイや擦り這いの重要性にも言及。

「手づかみ食べ」や「擦り這い」、両方に共通しているのは、この二つが成長過程においてとても重要である、ということ。

この段階でしか成長できないことがある、と強調しておられます。

この件については、昨年4月に東京で公演された増田純一先生も指摘しておられますし、僕の友人で、姿勢や口呼吸に詳しい江端先生も指摘していました。

「手づかみ食べ」とは、手の感覚を成長させること。

 

ここで、指しゃぶりをやめることができなかったお子さんのお母さんに、「やめさせてください」と言うだけでは、お母さんにとっては突き放されたような感じになっていたのでは?と思い当りました。

この著作を読んで、無理に指しゃぶりをやめさせるのではなく、指の感覚が成長するようなことをするようにすれば、自然な形で指しゃぶりをやめさせることができるのではないか、と考えました。

もちろん、ストレスなどの面も原因と考えられるので一概には言えませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

以上が本のご紹介となります。

 

「指しゃぶり」をいつ、やめさせるべきか。

確かに結論の出しづらいテーマではありますが、上記の書籍を見ると、「やめさせる」というよりも、「成長を促す」ことで、自然に癖がなくなるのではないか、と考えるようになりました。

 

口呼吸、食べ方、歯並び、口腔機能発達不全症、などは、全て密接に関連しています。

単に癖を直せばいい、というのではなく、成長という視点で、解決できるのかもしれない、と思います。

 

 

指しゃぶりに悩んでいる保護者の方々、悩んでいるのは決してお父さん、お母さんだけではありません。歯科医や保育士さん、養護の先生、絵本作家さんなどなど、多くの方が一緒に考えています、歯科医院に行く、絵本を読む、著作を読むなど、「入口」はいろんなところにありますので、どうか気軽に扉を開いてみてください。