審美歯科

診療案内

診療科目:
歯科・小児歯科
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昼休み/13:00〜14:00
休診日:
水曜・祝日
お電話:
011-669-8211
所在地:
札幌市西区西野5条3丁目7-1
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療養保育を見学してきました。

昨日、加納は療養保育施設を見学させていただきました。

昨年、今年と、発達障害、自閉症スペクトラム、脳性麻痺など、何らかの診断名のついたお子さんの治療をする機会が増えてまいりました。

お母さん方に聞くと、受け入れてくれるところもなかなか少ない、とのこと。

当院でも、これまで研修や講習会に出席してまいりました。ただ、歯科により自然な形で慣れてもらうにはどうしたらいいのか、という疑問もありました。

その時、学校や幼稚園、保育園が終わった後に、ADHD、自閉症スペクトラムなどのお子さんを対象にした学びの場として、療養保育というものがあることを知りました。

そこではお子さんたちはどのようにふるまっているのか、先生方はどのように接しているのか、実際に見てみたい、と思っていたところ、このほど、関係の方々のご配慮をいただくことができ、見学させていただくこととなりました。

 

以下、療養保育についての加納の感想をお話しします。

なお、加納は今年に入り、複数個所の療養保育施設を見学させていただいております。お話しする内容も、複数の施設の総合的な感想であって、特定の施設についての感想ではありません。

また、加納は幼児教育や養護教育についての知識はありません。専門家の視点ではないことを強調しておきます。

 

自分は札幌市内や近郊自治体の療養保育の施設を見せていただきました。

今まで見学させていただいた施設に通っていたのはADHD、自閉症スペクトラム、脳性麻痺児、ダウン症児などです。

養護学級に通っているお子さんもいましたし、普段は普通学級に通い、放課後に施設に訪れるお子さんもいました。

正直なところ、幼稚園児、保育園児、小学校低学年の児童では、自分には障害があるように見えなかった、というのが本音。

実際、ある施設の関係者にお話を伺ったところ、昔なら「おっちょこちょい」「落ち着きがない子」「少し変わった子」と言われた子供も、今では何らかの診断名が付くようになった、とのこと。

また、ある関係者は、「自分が障がいの有無の判定テストを受けてみたところ、発達障害と診断された」とお話しされていました。

総じて、以前よりもその子の状態に合わせた、細やかな対応が求められている、との感想でした。全ての子に「根性論」で接していた時代もありますが、それについては見直しが進められているようです。ただ、それだけに幼稚園や保育園、小学校の現場の先生の責任も大きくなっているんだ、と実感しました。

 

さて、僕が見たいくつかの施設の感想ですが、基本的にはお子さんたちは自由に行動していました。中にはプログラムの遊びを一人だけ抜けて関係ないことを始める子もいましたが、決して咎めるようなことはせず、そのままにしていました。

ただ、突然、大きな声を上げたり、年齢が下の子を怖がらせたりする行為に対しては、叱ったりもしていました。ただ、決して怒鳴ったり、声を荒げて冷たいことをいう、ということはありませんでした。。

そこはやはり、教育の意味も持ちあわさせているんだ、と思いました。

ある施設の方にお聞きしたところ、突然、突拍子もない行動をする子もいるので、それには適切な指導が必要、とのこと。言葉で注意する、そのほかの方法を行うとのこと。(体罰ではありません)

あるお子さんは、入所当初は大声を発し、他の子の嫌がることをしていましたが、その都度、指導することで、今ではそのような突拍子もない行動も少なくなってきた、とのこと。

プログラムで行われていたのは、集団での遊びですが、順番を守る、とか、遊びのルールを守る、ことに慣れていっているとのこと。

あくまでも「遊び」なので、子供たちは遊びたくてうずうずしている、ということ。

運動会の全体遊戯の練習や、卒業式のセリフの交換の練習、とは違って、何かの集団行動の訓練ではありません。

プログラムは、あいさつで始まり、あいさつで終わる、とのこと。「これをやって始まる、これをやって終わる」ということを覚えてもらうことは重視している、とのこと。また、今日のやることを順番に書き、事前に見せて知らせている、とのこと。

「ここまでやれば終わる」ということを実感させることが重要、とのこと。

 

これは歯科医師会が主催した講習会でも指摘されていたことですが、実際にそれを行っているところを見ることができました。

 

これはどの施設の職員さんもおっしゃっていましたが、最初に来たときはみんな、なかなかなじめない、とのことでした。ただ、その都度、先生方が指導することで、必ず馴染んでみんなで遊ぶことができるようになる、とのこと。

自分が見学させていただいたときは、どの施設もみんな先生方の言うことを適度に守り、「は~い!」と元気よく返事もしていました。また、おもちゃを片付ける、自分の着てきたジャンパーを自分でハンガーにかける、靴を並べてしまう、おやつの前には手を洗う(それもちゃんと石鹸で洗って)、などを自発的に行っていましたし、できない場合も先生方が最後まで自分でできるように優しく話していました。

 

歯科医院に初めて来るお子さんは、みんな恐怖心を持っていますが、ADHDなどのお子さんは、より敏感であると実感しています。先生方のお話を聞き、とても勉強になりました。

 

また、あつ施設の職員さんによると、大人が言葉で話したり、大人がやって見せてもなかなか覚えないが、他の子どもができているのを見ることで、指導しなくても自然にできるようになることが多い、とのこと。

これはとても有効かもしれない。

 

当院はお子さんに多く来院していただいております。

 

いろいろな方々の賛同やご理解が必要になりますが、歯科治療に恐怖心を持たない他のお子さんの様子を見ることで、自然にできるようになるかもしれない。

 

ただ、今はあくまでも参考にとどめておき、導入するには慎重を期したいと思います。

 

 

 

正直、他にも施設内の案内表示の工夫や、色々なお話を伺うことができました。お子さんのプライバシーもあるので、これ以上、この場で書くのは止めにしますが、この3か月間はとても実りの多いものとなりました、

 

冒頭でお話しした通り、障がいをお持ちの方の診療を受け入れ始めてから、多くの保護者の方から相談を受けたりしています。

多いのが、なかなか受け入れてくれるところが少ない、というもの。

これは、自分も受け入れのための勉強を始める前であったなら、どういう返答をしていたかわからない。治療をすることで、より悪化してしまったり、トラウマになってしまうかもしれない、という心配があるからです。

その心配は今でもありますが、だからこそ、もっと勉強をしていこうとも思っております。

(なお、文中で「叱る」という言葉がありましたが、あくまでも教育の場でもあることから行われていたことなので、歯科医院で「叱る」を取り入れるわけではありません。)

 

当院が目指すところは、全ての障がいをお持ちの方の治療を受け入れる、ということではなく、当院で対応可能な場合は当院で行い、当院では難しい場合は専門の施設に紹介する、というもの。

より、充実を図っていきます。

 

 

ご協力いただいた関係の方々に、心よりお礼申し上げます