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鉄道の本のご紹介 この夏、あなたも鉄ガール!

ここまで冗長な旅行記の紹介が続いたので、今日は軽いお話を。

シリーズになっていない、散発的な鉄道についての雑記記事を集めてみました。

(2021年3月19日追記)

 

 

 

 

 

当院の本棚に納められている本をご紹介している「本棚通信」。

「院長」という肩書をフルに利用して、本棚には鉄道関連本もバッチリ並んでおります。

今回は今までに当ブログでご紹介してきた鉄道関連本をご紹介。

乗る、見る、撮る、だけが鉄道の楽しみではない!読むのもまた魅力的!!

各学校の図書関係の先生方、お子様の情操教育のためにもぜひ、鉄道関連の書籍を導入していただきたい。

 

 

 

 

 

いよいよ夏本番。(2014年夏に掲載)

そして何より鉄道が本格的にシーズンイン!(なんのこっちゃ)

でも皆さん、鉄道って、どう思いますか?

正直言って、まだ敷居が高いとか思っていませんか?

そんな「鉄道には興味あるけど、ちょっと怖い感じがする」と思っているあなたに、ピッタリの本をご紹介いたします。

 

 

 

1、北海道の大地から消えた鉄道   上田哲郎 撮影 鉄道で旅する北海道編集部 編

タイトルからお分かりのように、北海道の廃線跡の写真を集めた写真集です。あまり古すぎるものは扱っておらず、主に25年ほど前の国鉄民営化時に廃線となった路線を取り上げています。 なので、ある世代以上には、まだまだ記憶に新しい路線もあるのではないでしょうか?

昔の北海道の地図を見てみると、今に比べて非常に多くの鉄路があったことがわかります。
十勝には現在、東西を横切る路線しかありませんが、30年前には南北にも鉄路が伸び、十勝平野を縦横に汽車が走っていましたし、根釧台地にも十字に鉄路が伸びていました。道東に住んでいた時、海沿いの標津町はドライブコースだったので、よく通っていたのですが、この標津町にまで鉄路が伸びていたのは初めて知りました。

なぜこれほどまでに鉄路が、まさしく毛細血管のように北海道の奥深くまで伸びていたのか。

自動車が普及していなかったというのはもちろんですが、北海道の産業がこの100年間で大きく変化したことも挙げられます。これらの廃線となった鉄路は、当初は主に石炭輸送や木材輸送の目的で敷設され、採掘や林業の盛況とともに周辺に町もできたケースが多いようです。
開国から戦後まで、北海道は日本の食糧倉庫、燃料倉庫となっていたため、北海道の鉄道は人の移動のためというよりも物資の輸送のために発展してきたといえます。

しかし、その後、石炭産業は廃れ、林業も輸入木材が中心となったことで、これらの鉄路はその役割を終えました。

さて、長々書いてしまいましたが、この本はそんなノスタルジックに浸る以外にも、素晴らしい風景の写真がたくさん載っています。線路のある風景は、とても絵になります。
チューリップ畑を横切る汽車、紅葉の山中を縫うように走る汽車など、「廃線」を抜きにしても楽しめる鉄道写真集です。どうか、ご覧になって、旅情に浸ってください。汽車に乗って旅に出たくなること請け合い。

 

 

 

 

 

2、鉄子の旅    菊池直恵    小学館

院長の若かりし頃(馬鹿かりし頃)、「鉄道好き」は市民権を得ておらず、「なんか怖い」と思われる存在でした。
特に女性からの不人気度は高く、鉄道が好き、などと口にした日には、翌日から遠目に見られる始末。

鉄道ファンにとって、受難の時代が続きました。

しかし近年、世間の「趣味」に関する見方も大きく変わり、また、熟年層向けの雑誌などで鉄道趣味が上品に取り上げられる機会も多くなり、「鉄道好き」すなわち「鉄ちゃん」、または「鉄」への偏見も小さくなりました。

そして、2002年、そんな「鉄道ファン」が完全に復権される、決定的な「一押し」をしたマンガが世に登場します!

それが今回ご紹介する「鉄子の旅」全6巻です。

この作品は、全く鉄道に興味の無い若い女性であるマンガ家・菊池直恵さんと、マンガ雑誌編集者のカミムラさん、そして今や鉄道ファンのカリスマとして不動の地位を得たトラベルライターの横見浩彦氏の3人による、かなりディープな鉄道旅行記です。

正直、かなりディープです。ノスタルジックなローカル線にぶらりと乗って、車窓に季節を感じ、これまた予定もなく途中下車して、知らない街で美味しいものを食べる、なんていう、「ありがちな旅」などありません!
ローカル線全駅制覇、24時間鉄道乗っりぱなし、山の中の「スンゴイ」無人駅(いわゆる秘境駅)巡り、など、かなりモチベーションが高くないと貫徹できない鉄道旅ばかりが収録されています。

そう、旅の内容だけで言うのなら、この作品の「鉄道旅」は、初心者を全く寄せ付けないものばかり。

それでもこの作品が親しみやすく、人気が出たのは、作者の菊池さんが「嫌々感」「つき合わされ感」「仕事だからしょうがない感」を全く隠すことなく、むしろマンガの中で前面に押し出して、せきららに書いてしまっているため。

「ディープな鉄道旅」も、菊池さん視点で描かれることによって、「普通の人」の感覚が保たれ、また横見氏が、ぶっちゃけ「変人」として描かれているため、一般の人が見ても「え?これを見ても理解できない自分の方がおかしいの?」という感覚を起こさせません。

これが鉄道好きばかりが集まって、マンガも鉄道大好き人間が描いたのなら、鉄道ファンにとっては大好評であったとしても、一般人を置いてきぼりにしてしまい、大きなブーム、社会現象を起こすようなことは無かったでしょう。

いわばこの作品は、菊池さんという「一般人視点」から、「鉄ちゃん」の代表である横見氏を、冷めた視線で観察する「異文化コミュニケーションマンガ」とも言えるわけです!

 

そしてこの作品の登場以来、鉄道ファンの女性を表わす言葉として「鉄子」が一般的となりました。「山ガール」やその他の「〇〇ガール」は「鉄子」の2番煎じ、3番煎じと言っても過言ではありません(?)。

 

この「鉄子」という言葉はブームになり、当時の流行語大賞にノミネートされるまでにいたり、そしてなんと国土交通省のホームページに「鉄男・鉄子の皆様へ」という専用ページが開設される事態に発展!!

長らく隠れキリシタンのように、潜伏しながら活動(?)してきた鉄道ファンが、ついに「政府の公認」を得る至ったのです!
政府レベルにまで鉄道ファンの存在を認めさせた、と言う点において、この「鉄子の旅」の功績は計り知れないものがあります。
(2021年3月19日現在では、専用ページは無くなっている模様。この記事は2014年くらいに書かれたものです)

 

・・・などと訳の分からないことを言うから一般人が遠ざかるのですが。

でも、「なんだか鉄道には近寄りがたいなあ」と考えている方々、「少し興味があるけど、どうしよう」と迷っている方々、この作品を読んでみて下さい。

「一般人」である菊池さんが、初心者の方が感じるであろう戸惑いを経験しながら、少しずつ鉄道の世界に入っていく様子がわかります。

ちょっとずつ鉄道に親しんでいく感覚を共有できると思います。

そして全6巻を読み終えたとき、あなたも「なんでもいいから、どこでもいいから、鉄道に乗りたくなる」感じになるでしょう。

 

そう、目的地に行くためだけに鉄道は存在しているのでは無いのです!

鉄道に乗る、という事こそがレジャーなのです!!

交通とか物流のためだけに鉄路は存在しているのではないのです!

「レールの上を走る」というだけでも十分な「存在理由」なのです!!

 

また、作品中のゲストも、結構有名な方々が登場します。

フジテレビのアナウンサーや現役アイドル、そしてなんとあの名作漫画「めぞん一刻」の「管理人さん」こと、音無響子まで登場!しかも原作者の高橋留美子さん直筆によるゲスト出演!!

この作品の持つ不思議な魅力は、鉄道ファンに限らず、ジャンルを超えて色々な人を寄せ付けてしまうようです。

 

そしてこの作品にて、一気にメジャーな存在となった(?)横見浩彦氏にも注目です。

氏はなんと、「全国のすべての駅下車」を達成した、おそらく日本でただ一人の人物です。(2014年当時。その後、「完乗」達成者が続々と登場)

「全国すべての駅」は、JRだけではありません。「京王線」「阪急線」などの有名な私鉄だけでもありません。各地の市電や地下鉄駅など、レールの上を走る乗り物全ての駅の事なのです!

その総数、なんと9800以上!!

そして2009年には「10000駅下車」も達成!!

もはや前人未到の域に達してしまいました。今後、数十年間、この記録は破られないでしょう。(すみません、その後、多くの人が達成した模様。詳しく知らんけど)

でも横見氏は、この作品の中でコメントとして「全駅下車は誰でもできる!」と断言しています。

確かに「駅で下車する」なんてことは、才能を必要としない、誰でもできる行為です。

なので「全駅下車」も、お金と時間があればだれでも実現可能なことであるのは間違いないです。

 

でも、それをやることは並大抵ではない。

彼の行ったことを「そんなことやって、意味があるの?」とか、「そんなことやって、何になるの?」と思う方もおられるかもしれない。
いえ、世間の大抵の人は、そう思うでしょう。

「だれにでもやろうと思えばできる」「そんなことやって、意味が無い」

そんなことを実際にやったのは、日本で横見氏ただ一人。

その結果、鉄道ファンの間では横見氏の知名度は確固としたものになり、テレビや雑誌に取り上げられ、マンガにも登場。ある地域ではレギュラーのラジオ番組までやっているそうです。鉄道関連イベントにも引っ張りだこ。

でも、繰り返しますが、彼のやったことといえば「全国のすべての駅で下車する」という、一見、才能を必要としない、誰にでもできそうなこと、なのです。

たとえ才能が無くても、何かを突き抜けるくらいまでやれば、必ず世に出てくる。

その証拠として、横見氏は、鉄道を通じて真鍋かおりさんと会うことができ、そしてあの「管理人さん」との共演まで実現!

「普通」に生きていたら、こんな経験、できるでしょうか?

地方の新聞記事にすら取り上げられなく人生を終えることのほうが「普通」と思います。取り上げられた日には、数年間は自慢できてしまいます。
でも横見氏は、好きな鉄道を追及して「全駅下車」して「突き抜けた」結果、自分を主人公としたマンガまで出版された。

横見氏の生き方は、「本当の自分」などというアヤフヤな言葉に悩んでいる全ての人にとって、福音のように思われます。

若い人よ、「自分に才能があるのかないのか」、「自分には何の才能も無いんだ」、そんなことを悩んでいるヒマがあるのなら、人が「そこまでやるの!」と引いてしまうくらい、何かを徹底してやってみようじゃないか!!しかもそれは奇抜なものでなくてもいい!その辺にあるような、日常的なもので十分!
才能なんて無くて当たり前。天才なんてそんなにゴロゴロいるわけない!
この作品をきっかけに、「才能なんて無くていいから、とことんやってみよう!」と良い意味で開き直ることができたらいいですね。(そういう作品ではないけどね)

 

最近、JR北海道の悲しいニュースを多く聞きます。鉄道ファンとしては悲しい限り。

全国には「北海道の鉄道」を、特別視してくれる人たちがいます。

飛行機で来れば数時間のところを、わざわざ高額な特別料金を支払ってまでして北海道行きの寝台列車に乗り、「朝起きたら、そこは北海道だった」という感覚を味わう方もおられます。その方たちにとって、「北海道に行くこと」自体がレジャーなのであり、その終点までの時間を、列車内で食事したり、車窓を見ながら楽しんでおられます。
鉄道ファンにとって、「北海道」にはそれだけの価値があります。

来年、北海道新幹線の開業により北海道と本州の距離はぐっと近づくものの、「北海道に着くまでの時間」にまで高い価値が生まれる「北海道プレミアム」が無くなってしまうようで、寂しく思います。

そして、その「北海道プレミアム」の価値を最大限に広げることができるのは、寝台列車による「汽車旅」だけなんだ、と実感させられます。

 

お話がそれましたが、この作品は、初心者にとって敷居の高い「鉄道旅行」を身近なものにしてくれます。そして「鉄道に乗っている時間」にこそ価値がある、ということを教えてくれます(?)。

 

この夏、鉄道に乗って、知らない世界を見てみましょう!!

 

 

2021年 追記

昨年、今年と「イベント列車」が多く企画されています。コロナの影響もあって目立つことはできませんでしたが、昨年は「高級列車」も運行されました。
これまで道民は「北海道プレミアム」について、徹底的に考えてきたのでしょうか?
北海道に無くて本州にたくさんある、というものは、裏を返せば本州に無いものが北海道にはたくさんある、ということでもあります。
奇抜なことを無理にやって注目を集めようとするのではなく、横見氏のように北海道では日常的なもの、ありふれたものを徹底的に追及することで、いつの間にか目立った存在になることができるのかもしれません。

では何が北海道にとって「日常的」で「ありふれたもの」なのか?

汽車に乗って探してみましょう!