審美歯科

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「糖」について その14 糖アルコールについて

今回からは「糖アルコール」に属する「糖質」についてお話ししていきます。

 

「糖アルコール」とは、「糖を還元して水素を2つ添加したもの」とのこと。

つまりは、自然に存在する糖を人間がいじって変えたもの、と言えます。

そのため糖アルコールは工業的に生産されます。

糖アルコールの名前は科学的命名法によって、元の糖の名前の末尾に「トール」がついています。

これまでご紹介してきた自然に存在する糖は、グルコースやフルクトース、スクロース、ラクトース、など末尾は「ース」という具合で終わっていましたが、これからご紹介する糖アルコールは「ソルビトール」や「マルチトール」、そして有名な「キシリトール」など、末尾がすべて「トール」で終わっています。

食品の成分表示の欄の糖分で「トール」という成分を見かけたら、糖アルコール=工業的に作られた糖、と考えていただいて大丈夫と思います。あくまでも「糖」に関して、ですが。

 

 

少し話が逸れますが、「工業的に作られた」と書くと、自動車工場とかテレビの生産現場が浮かんで、なんだか体に悪いように思えてしまいますが、あっちよりも食品を作り出している工場を想像していただいた方が良いと思います。この前、テレビで「キットカット」の生産工場が放送されていましたが、あっちの方をご想像ください。

時々、フッ素に関して「フライパンなどのテフロン加工など、工業的な部分にもフッ素が使用されているから体に害がある」という説明がなされるときがあるのですが、これはかなり極論、というか、暴論に近いものがあります。あっちの「工業」で使用するフッ素と、口腔に応用するフッ素とは全くの別物です。

その上で、それぞれの方々の思想信条に従って、フッ素を使用するかしないか、を選ぶのは、最終的に各個人にゆだねられます。

 

 

 

脱線してしまいましたが、糖アルコールは体内へはあまり吸収されないため、砂糖などと比べて血糖値の上昇が小さく、低カロリー甘味料として食品などに使用されています。

また細菌が取り込んでも、グルコースやフルクトースと違って、糖アルコールから酸を作り出すことはできないため、酸で歯を溶かすこともできなくなるため、むし歯を作りにくくする効果があります。なお、新しい虫歯を作りにくくする効果はあるものの、むし歯菌を少なくする作用があるわけではありません。

 

さて、上で「糖アルコールはあまり体内へ吸収されない」とかきましたが、これは血糖値の上昇を小さくする、という利点があるものの、一方で、あまり過剰な量を摂取すると大腸での水分の吸収を阻害してしまうため、下痢や腹痛を引き起こしてしまいます。

本文では「これが糖アルコールの最大の欠点であり、特に小児に対しては使用は慎重にすべきである」とあります。

 

大人の場合は、糖アルコールを継続的に摂取すると、それに対する耐性ができるため、やがて下痢などの症状も出なくなっていきますが、子どもは耐性を獲得できません。

 

近年、キシリトール入りのガムや、マルチトール入りのダイエット食品などが一般的になり、お子さん向けの虫歯予防のお菓子としても販売されていますが、むし歯にならないから、と言っていくらでも食べていい、とはなりません。この点、とても注意してください。

あくまでも適度な量が大事。

 

 

それじゃあ、糖アルコール入りのお菓子は子供には危険じゃないか!!と思われるかもしれませんが、そもそも砂糖入りのお菓子の過剰摂取が危険なため、一番の解決策は、お菓子のダラダラ食いはやめて、間食の時間を決めて適切な量を取る、かと思います。

 

間食自体は成長には必要ですので。特に中学、高校時代には。大人の皆さんも、思春期の頃は常におなかがすいていませんでしたか?

 

 

 

 

次回から糖アルコールの各成分についてお話しします。

「糖」について その13 ラクトース、トレハロース

続いて糖質系甘味料の「その他の糖」に属する「ラクトース」についてです。

「ラクトース」はグルコース(単糖)と「ガラクトース」という単糖が一つずつ結合した「二糖」です。

甘味度ですが、本文には掲載されていなかったのですが、ガラクトースはグルコースよりもわずかに甘味度が下がる、とのこと。

グルコース自体が砂糖よりも低い「0.7」なので、そのグルコースとそれよりも甘味度が低いガラクトースの結合しているラクトースは、砂糖よりもかなり甘味度が落ちる、と言えます。わずかに甘い程度、なのではないでしょうか。

さて「ラクトース」は、名前からも薄々察しがつくように、哺乳類の乳汁に含まれているため「乳糖」とも呼ばれています。

ラクトースは甘味料としては使用されていませんが、ヒトの母乳に7%含まれ、歯科的には「哺乳瓶う蝕」の原因になると言われている、とのこと。

多くのお口の中の細菌はラクトースから酸を作り出すことができるため、むし歯の原因になると言えますが、ラクトース単独では虫歯を発生することはないのではないか、とされています。

じゃあ、なぜ「哺乳瓶う蝕が起こるのか?」と不思議に思われるかもしれませんが、当ブログの今年1月31日掲載分の「離乳食開始とお口の健康」に記載されている内容で、ご説明可能と思われます(元の記事ではそこまで言及されていません)。

授乳期と離乳食開始期が重なる時期に、様々な細菌が活動を活発化させます。栄養の取り方が変わる大事な時期ですが、むし歯予防でも第一の関門、とも言えますので1歳から2歳にかけての次期のお子さんのお口についても、十分、ご注意ください。

さてこのラクトースですが、腸で「βガラクトシダーゼ」という酵素によって分解され、吸収されます。

しかしこのβガラクトシダーゼが欠乏すると「乳糖不耐症」になってしまうとのこと。

乳糖不耐症についても語りだすと長くなるのですが、一言で言うと、牛乳を飲んだりするとお腹がゴロゴロする、人によってはゆるい便になる、あの現象です。乳糖不耐症は健康な人でも発症するので異常とは言えません。

また、ラクトースは腸内細菌にも良い影響を与えるそうです。

 

 

 

さてここで少しだけ回り道をして、せっかくなので文中で出てきた「ガラクトース」についてお話しします。

「ガラクトース」は単糖ですが、単独では存在できず、グルコースと一緒になった形で存在する、とのこと。

化学式ではグルコースと同じで、人体に吸収されたのちに肝臓でグルコースに変換され、全身に運ばれて栄養源にされるそうです。

また逆に、乳腺ではグルコースをガラクトースに変換してラクトースとして乳汁内に含ませる、とのこと。

上記の「ガラクトースからグルコースに変換する」際に使用される酵素が欠如すると、ガラクトースをグルコースに変えることができなくなってしまうため、血中でのガラクトースの濃度が上昇してしまい、白内障などの症状を発症してしまいます。

 

 

 

ラクトースについては以上です。次は「トレハロース」について。

 

 

 

 

「トレハロース」は以前お話しした「マルトース」と同じ2つのグルコースが結合してできています。

「え?グルコースが2つなら、マルトースとどう違うの?」と思われると思いますが、マルトースとは「結合の仕方」が異なります。つまりグルコースのくっつき方が違うのです。ここまでくると説明もマニアックになってくるので、「糖マニアに、俺はなる!」という方は専門書を読んでください。

トレハロースの甘味度は、砂糖の4割くらいとのことなので、甘さはわずかに感じられる程度、と思われます。

トレハロースは高い保水力や品質保持効果があるため、甘味料としてよりも乾燥や凍結から食品を守るために使用される、とのこと。

またトレハロースには細胞やタンパク質を凍結や乾燥によるストレスから保護する作用もあるそうです。

 

このトレハロースですが、以前は抽出するのが難しく、非常に高価だったそうですが、日本の岡山県にある企業・林原が世界で初めて大量生産に成功した、とのこと。林原といえば、岡山県の方自慢の企業ですね。

 

さて、トレハロースについて脱線すると、動物、とくに昆虫の方がヒトよりも、トレハロースの血中濃度が高いそうです。

 

 

 

 

 

 

 

「糖」について その12 マルトース

「デンプン由来の糖」として最後にお話しするのは「マルトース」です。

 

 

 

 

ここに位置します。

 

マルトースは大麦のデンプンをアミラーゼ(唾液にも含まれている消化酵素。単糖同士の結合を分解する)によって分解して得られる糖で、別名を「麦芽糖」ともいいます。この別名も有名ですね。

 

マルトースは単糖であるグルコースが2つ、くっついてできているので「2糖」になります。(単棟+単糖=2糖)

マルトースの甘味度は、「1.0」の砂糖の3分の一、と言われている、とのこと。

 

 

 

 

 

 

マルトースはグルコースが2つくっついてできているので、正体は「グルコース」と言えます。

上の甘味表より、グルコースの甘味度は「0.7」。そのため、グルコースが2つ集まったマルトースの甘味度も「0.7付近」で、砂糖よりも低い、と言えます。

 

さて本文では、「純粋なマルトースや、その結合方式が異なるイソマルトース、マルトースにもう一つグルコースが結合したパノースには、ミュータンス連鎖球菌によるグルカン合成の抑制作用があり、これらを多く含むグルコシルオリゴ糖には動物実験でう蝕抑制能がある」

と記述してあります。

 

なぜう蝕抑制能=虫歯になりにくくする機能があろのか、の詳細について、自分が調べた範囲では不明でしたが、効果があるのは事実のようです。

 

 

マルトースについては以上です。

 

 

「糖」について その11 異性化液糖(コーンシロップ)

これまでご紹介してきたグルコース、フルクトースは甘味料分類の「糖質系甘味料」の一部である「デンプン由来の糖」に属します。次にご紹介する異性化液糖、またはコーンシロップも、「デンプン由来の糖」になります。

 

さて、なにやら面倒くさい漢字の並んでいる「異性化液糖」ですが、「コーンシロップ」と聞くと一気に親しみがわくから不思議。

なぜ名前に「コーン」が入っているかというと、トウモロコシから作られるから、だそうです。

具体的には、トウモロコシのデンプンを分解して主としてグルコースからなる糖液を作り、さらにグルコースソイメラーゼという酵素によって、グルコースの一部をフルクトースに変換(これを「異性化」と言います)して作られた糖のことを「異性化糖」と言います。

その混合液を「異性化糖液」、通称「コーンシロップ」と言う、とのこと。

なんと1965年に日本人が世界で初めて作ったんだそうです。その後、アメリカに渡ったことで一気に広まった、とのこと。

今ではコーラなど、あらゆる「甘いもの」に使用されている、と言っても決して過言ではありません。

 

異性化糖は安価に生産できることから、広く普及しています。

 

で、ですね、この異性化糖の成分表示には「果糖ブドウ糖液糖」や「ブドウ糖果糖液糖」など、複数が存在するのですが、それはグルコースとフルクトースの割合で変化するそうです。

 

JAS(日本農林規格)の基準をご紹介すると、

 

ブドウ糖果糖液糖・・・・・・果糖含有率(全体の中のフルクトースの割合)が50パーセント未満

果糖ブドウ糖液糖・・・・・・果糖含有率が50~90%

高果糖液糖・・・・・・・・・果糖含有率90%以上

 

 

 

となるそうです。

 

 

で、甘味度も果糖(フルクトース)がどのくらい含まれているのか、によって異なってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

再び甘味度の表ですが、スクロースの1.0を境に、下を見ると「0.7」のところにグルコースがありますね。上を見ると「1.2~1.5」のところにフルクトースがあります。

スクロース(砂糖)はグルコースとフルクトースが合わさってできたもので、単体では甘味度が異なるものが合わさってスクロースとなり、中間の甘さで落ち着いた、と考えていいかと思います。

 

で、異性化液糖では、上記のようにグルコースとフルクトースの量が異なります。

フルクトースが50パーセント以下しか含まれていない「ブドウ糖果糖液糖」と、50パーセント以上含まれている「果糖ブドウ糖液糖」では、後者の方がフルクトースが多いため、甘くなります。

 

 

今回、異性化液糖について、ネットでも調べてみましたが、多くのサイトで危険性が指摘されていました。

それらのサイトで言われている健康被害は、正しいものが多いようです。

その健康被害の本質が、フルクトースにあるためです。

フルクトースは前回、お話ししたように、インスリン抵抗性を助長し、肥満や動脈硬化を促進することが指摘されています。

異性化液糖はフルクトースの量を工業的に増やしている、と言えますので、「ブドウ糖果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」の過剰摂取は、フルクトースの過剰摂取と同じ意味となります。

 

で、この異性化液糖は本当に多くのお菓子や食品、飲料水に含まれているのですが、中にはスポーツドリンクや乳酸菌飲料などの「健康にいい!」「体にいい!」と宣伝されている飲み物にも含まれているのです。

乳酸菌飲料については、完全に健康飲料というイメージが定着しているし、実際、体に良い成分も入っていると思いますが、取りすぎには十分、ご注意ください。

そしてそして!!スポーツ飲料!!!

今ではテレビCMなどの影響もあって、完全に「スポーツ飲料は水分補給にいい!!」=「スポーツ飲料は体にいい!」という認識が広まってしまいましたが、フルクトースが使用されている以上、糖分で言えばコーラなどのジュースとなんら変わりません。

フルクトースの成分のため、むし歯菌などの細菌の良いエサにもなるし、糖尿病なども引き起こす。

近年、若年者、とくに10代の少年での「糖尿病予備軍」が増えているのは、部活などで積極的にスポーツ飲料の摂取が勧められてきたことも大きな要因の一つです。

スポーツ飲料も適度な量ならいいのですが、「カラダにいい」との認識のもと、飲めば飲むほど良い効果が出てくる、夏はこれが無いと体が渇く=熱中症になる、といった、明らかに間違った考えが広まってしまっています。

 

 

異性化液糖も、一日の量を考えることで、上手に摂取することができます。

これから夏の熱い時期を迎えますが、スポーツ飲料の取り過ぎに十分、ご注意ください!

 

そして健康飲料とされるものも、甘ければジュースと同じ、と思っていた方がいいと思います。