



審美歯科
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むし歯とPhの関係について その2
- Date / 11月 24th, 2017
- Category / クリニック情報
さて、これまで、酸性になってしまうとバイオフィルムの性質が変わってしまう、とお話ししてきました。
Phは、CAMBRAのむし歯のリスク評価にとても重要で、その根幹をなしている、と自分には思われました。
このPhですが、ペーハーが下がって酸性になれば、歯は溶けてしまいますが、逆に上がれば逆の結果にもなります。
そう、歯が「石灰化」します。
歯の表面は常に変化しています。
口腔内は口に入るものの持っている温度によって、大きく上下します。熱いラーメンを食べた後にデザートでアイスを食べる、という行為に身に覚えのある方もおられるはず。
それは温度だけではなく、性質によっても異なります。ペーハーはもちろんですが、粘るものであったりヌルヌルするものであったり、また乾いたものであったり、と、多種多様なものが口の中に入ってきます。
そのたびに、歯は環境の変化に翻弄されることになります。
そして前回、お話ししたように、食後、ペーハーが下がって酸性になる、ということも頻繁に起こるのです。
このペーハーが下がったとき、歯の表面からカルシウムやリンなどの歯の基となる成分が溶け出してしまうのですが、その後、ペーハーの回復によって石灰化の条件が整うと、歯は逆に歯の外の唾液の中にあるミネラルを吸収して、取り込みます。
このように、歯の表面は常に新しい成分に置き換わっているのです。
ここまでを読んで、「酸性になると歯が溶けてしまうのなら、アルカリ性にすれば歯は溶けないんじゃないか?」
と思われる方もおられるかと思いますが、そううまくもいかず。
唾液がアルカリ性に寄りすぎると今度は過剰に石灰化が進んでしまい、歯石が着きやすくなってしまうのです。
で、歯石ができるとその下は空気の無い嫌気的な環境となり、細菌は発酵を始めるのです。つまり歯石の下は腸の中と同じ環境が形成されてしまうのです。
実は最後に触れようと思っていたのですが、このあたりは「卵が先か、ニワトリが先か」になってしまうのです。
フッ素について詳しく調べていくと、ペーハーとの関係に行き着くのですが、すると「なぜ、酸性になるのだろう?」という疑問に達してしまいます。
まず口腔内が酸性になることで、細菌が活発になるのか、それとも細菌が酸を作り出すことで口腔内も酸性になってしまうのか。
今回のヤング博士の講義では「酸になってから、バイオフィルムが変化する」という主旨でしたが、一方で後述するのですが、具体的な予防方法では殺菌成分のあるもので歯磨きし、口腔内の細菌を減らす、という手段も選択されていたりする。
おそらく自分が聞き洩らしている部分もあるのだと思うのですが。
で、ですね、こういう時って、大体が「どっちも正解」ということが多いんですよね。
まあ、それ以前に、こんな議論は歯医者の中だけで侃々諤々やっていればいいんであって、歯医者以外の「普通」の方々は、歯の健康のためにはどっちも行う、でいいと思います。
おっと、話がそれていますが、つまりアルカリ性になりすぎても良くないのです。
やはりペーハーは中性付近がよいと思われます。
講演では、中性付近でリンやカルシウムの取り込みが起こる、とのことでした。
口腔内を常に中性に保つ、ということは不可能です。むしろ適度な範囲でのペーハーの上下は、歯に良い影響を与えています。
大事なのは酸性である時間やアルカリ性である時間が長すぎること。お菓子のダラダラ食いは、ペーハーをいつまでも酸性にし続けてしまうので、非常に注意が必要です。
ここまで酸と歯の性質についてお話ししましたが、ここでヤング博士はカリエスリスクの重要な柱(3つ挙げていた)内の一つを提示。
それは「バクテリアは、エナメル質の穴よりも大きいので入っていくことができないが、酸によって穴が広がると侵入できる」ということ。
歯の表面にはエナメル質という、人体で最も硬い層がありますが、そのエナメル質は「エナメル焼酎」(「エナメル小柱」の変換ミスですが、飲ンベなのでこのまま掲載)という、柱が集まってできています。
その柱と柱の間には、すんごく小さい「すき間」があるんですよ。
このすき間は本当に小さいので、細菌は侵入できません。
ところが酸が多いと、この穴の中にも浸透してエナメル小柱をとかし、この穴を広げてしまうのです。すると、細菌が侵入しはじめ、むし歯はより、内部に深く広がってしまう。
これを防ぐためにも、口腔内のペーハーの管理が重要になってくる。
また、お子さんの歯は、頭が出たときはまだまだ未成熟で、その後、数年をかけて唾液の中のミネラル成分を吸収し、成熟するのですが、もし、歯が出たときにすでに口腔内のペーハーが酸性であったらどうなるか?
もう、お分かりと思いますが、多くの歯が虫歯になりやすくなってしまいます。
そして「一度、形成されたバイオフィルムの性格は生涯、変わらない」という点と同じく、口腔内のペーハーを変えることも、決して容易なことではありません。
今後、虫歯予防では、口腔内のペーハーの管理が重要になってきます。
続く