審美歯科

診療案内

診療科目:
歯科・小児歯科
診療時間:
月・火・木・金
9:00〜19:00
昼休み/12:30〜14:00
土・日 9:00〜17:00
昼休み/13:00〜14:00
休診日:
水曜・祝日
お電話:
011-669-8211
所在地:
札幌市西区西野5条3丁目7-1
[map]

小児の治療について①

昨年、西日本で歯科治療を受けた小児が、後に亡くなった、というニュースがありました。

 

とても痛ましい事件で、当時は自分も含め、周辺でも様々に意見交換いたしました。

この件について、当時、保護者の方々からもご質問をいただいてまいりました。ただ、ブログでお話しするのは控えてまいりました。

ご質問されるお母さん方は、皆さん、自分が「世間が知らない深い情報」を知っているのではないか、と思われていたのですが、自分もニュースで知る範囲以上のことは知りません。これは現在も変わりません。そして自分もそれについて語る立場も肩書もありません。

当時は(当然の面もありますが)当事者の歯科医への批判が高まる一方で、亡くなった小児の保護者に対しての批判も高まる、など、世論がかなり過熱しておりました。

そのため、不用意な発言となってしまうことを恐れました。

 

ただ、改めてネットを見てみると、歯科医の先生でも様々な方がこの件に触れており、中には個人的な意見を語っていらっしゃる方もおられました。

自分としては、当時の状況を把握しないで、物事の良否に言及することは避けたいと思います。

中には小児への治療自体が、行うべきではない、とする意見もありました。

今回は、お子さんの治療に関して、自分の方針についてお話ししようと思います。

 

ただ、昨年の事件について語るものではない、ということを念頭に入れていただきたいと思います。事件については全て、司法の判断以上のものはない、と考えております。一方で、小さなお子様が亡くなってしまった事実を忘れることはできません。

 

まず、最初は、お母さんの質問が多かった事柄について。

それは「2歳児への麻酔は妥当か、必要だったのか」という点です。

以下はあくまでも加納の私見、ということをご理解ください。

自分の経験上ですが、2歳児で麻酔を行う状況、というのは、かなり虫歯が進行し、すでに痛みが出ている状況、になるかと思います(あくまでも「当院では」ですが)。やはり2歳児への麻酔は躊躇してしまいますね。

痛みがないのであれば、経過観察をするほうが多いかもしれません。最近ではお母さんの同意を得れば、保護者の方の協力の下、手用器具で虫歯をとれるだけ取って、白い詰め物を詰めるということを行います。

ただ、痛みがあるのであれば、麻酔の使用も考慮しないといけなくなります。

 

ここから先生方によって判断が異なるのですが、当院では小さいお子様であればお母さん方に室内に入ってもらい、手を抑えてもらう、など協力をしていただきます。

また、3歳以降で体が大きく、力も強いお子様の場合、痛みがある時や、痛みが無くても治療が必要な場合などで、動きが大きく安全が確保できない事態の時はレストレイナーという抑制具を使用する可能性がある、と伝え、同意を得たうえで治療を行います。

いずれの場合も最初からレストレイナーを使用する、ということはありません。まずは使用せずにやってみて、必要に応じて使用しています。その際も、保護者の方の同意を前提としています。

レストレイナーについても、各先生のよって様々なお考えがあるようです。絶対に使用しない、という意見もあれば、安全のために必ず使用する、という意見もあります。どちらも根拠に基づいて行っていると思われます。

自分は、上記のように、治療に応じて必要であれば、保護者の同意を前提に使用する、という考えです。ただ、必ずしも文章に示したようにならないのが実際というもの。その場や保護者の方のお考えによって、対応が変わってまいります。

不安な点は、むしろお話しいただいたほうがいいと思います。希望に沿ってできるのであれば行い、できないのであればそれもお伝えしております。

お子様への心理的影響を心配して、使用を拒否される保護者の方も、もちろんおられます。その際は今後、考えられる事態を説明したうえで、できる限りのことを行います。治療についての具体的なことは後程、お話しいたします。

当院では診療の際には、お母さんの希望によって同室してもらい、お子さんの横で励ましたり治療を見てもらっております。

 

この点は各先生によって考えが異なると思います。同室をしないでお子さんだけ診療室に入る、という先生もおられると思います。

賛否の判断は、各家庭で行っていただきたいと思います。

 

其のうえで、万一、体調が悪くなってしまった場合、ですが、生体モニターでの計測、酸素ボンベによる酸素吸入、必要に応じて救急蘇生を行う、などを用意しています。

自分は開業以前より、万一の事態が起こったらどうするか、不安がありました。

まず各歯科医師会では救急蘇生についての講習会が開かれています。これは歯科医師のみだけではなく、歯科衛生士、歯科助手など職種を問わずに参加可能となっています。これまで複数回、受講してまいりました。

また、当院は平成27年に「歯科外来環境体制加算」の施設基準を満たしたのですが、その際に歯科医師会とは別組織にて「BLSヘルスプロバイダー」の資格講座を受け、資格試験に合格しました。こちらは歯科とか、医療関係とか関係なく受講できるので、皆さんも受講してみてください。

ただ、それでも常に「とっさの時」にすぐに行動できるのか、不安を持っています。

これについては常に訓練を受けていこうと思っております。

 

続きます。