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仮面ライダーBLACKに学ぶ夕張問題 その2

前回は、仮面ライダーブラックのテレビシリーズ第37話についておはなししました。

今回は「劇場版 仮面ライダーブラック」の「恐怖!悪魔峠の怪人館」をご紹介。

 

この劇場版では開始早々から夕張の全景が映し出されます。これはテレビシリーズと同じ。

夕張は谷間にできた狭隘の地にあることがわかります。

この夕張市街を見下ろす丘のあるところに、突然、イナヅマ(?)が走り、悪の組織「ゴルゴム」の次期ボスとされている、事実上の「悪者の頂点」である「シャドー・ムーン」が現れます。この「次期ボス」というのは物語全般の重要な要素で、最終回に近づくに従ってその全容が明かされていくのですが、夕張の紹介には関係ないので気になる方はシリーズを見てください。

で、このシャドー・ムーンですが、夕張の町並みを眺めながら一人語りを始め、

 

「夕張。夕張岳を控え、前方には石狩平野が開けるこの地こそ、新たなるゴルゴム帝国都市を建設するのに最もふさわしい。間もなく夕張はゴルゴム世界侵略の一大拠点となるであろう」

 

と、夕張を発信地とする壮大な世界戦略を披露!

そのスケールの巨大さは見る側を圧倒し、当時の小学生に、ゴルゴムへの恐怖心を植え付け、大人たちにはその資金の豊富さを実感させます。

 

次に映し出されたのは夕張メロン城。このメロン城は、その愛らしい名前と裏腹に、実はゴルゴム帝国都市計画のために建設された、ゴルゴムの仮拠点だったのです!

西洋のお城をイメージした(と言えなくもない)外観ですが、内部は電子設備が導入されている様子。

その会議室のような場所に、「幹部怪人」たちが集合しています。その幹部たちを前にシャドームーンは、

 

「夕張はアイヌの古い言葉で、泉の湧き出るところ、を意味する。」

と発言。なんと道民よりも北海道のことをよく知っている!!

かれが夕張を適当に選んだのではなく、入念にリサーチをしたうえで選定したことがわかります。さすが「次期ボス」が決まっている男。経営的な視点に秀でているようですね。ぜひ、歯科経営コンサルタント部門にも進出することを勧めたいところ。

このシャドームーンの発言のすぐ後に、幹部怪人の一人が

「愚かな人間どもはその本当の意味を知りません。」

とつづけ、また次の幹部怪人が

「泉とは、大地の奥深くに眠る無限のエネルギーのこと。」と発言。

その二人に続けてシャドー・ムーンが

「そのエネルギーをもって、ゴルゴム帝国都市は建設され、運営される」

と、帝国都市の経営方法にまで言及!

なんだよ、ゴルゴム帝国都市って、人間の都市よりも「凄くエコ」じゃん!!

なんて先進的な考えなんでしょうか!むしろ「愚かな人間ども」は、ゴルゴム都市の概念に学ぶべき!

・・・と、いつの間にかゴルゴムの思想に同調している自分!!

これがゴルゴムの恐ろしさ!幼い少年たちに「自分たちは素晴らしい!」という考えを植え付けている!!
しかし、さすが「次期ボス」の「内定」が出ているだけあって、シャドー・ムーンは切れ者ですね。確かに夕張にゴルゴム都市を建設すれば、彼は大きな実績を上げることになり、「次期ボス」の座を確定することができます。なんだかやっていることは、悪の組織も「愚かな人間ども」の会社も、あんまり変わんない気が・・・・・。

 

シャドームーンは話をつづけ、

「人間が滅んだ後、全世界の中心都市として繁栄を極める」

と発言!

夕張を、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、北京などの世界的な大都市以上にして、世界最大の巨大都市とする構想を、臆面もなく披露!

現在の夕張市民の方から拍手喝さいを受けること必至!!次期市長選挙に出馬したならば、すぐに当選確実が決まることが容易に想像できます。

 

そしてその帝国都市の守り神として、牧野博士に命じて巨大ロボットを建設していた、と、恐るべき計画の全容が明かされます。

その「巨大ロボット」というのが、なんと当時夕張にあった「大ロボット館」の目玉の巨大ロボット「ユーバロット」だったのです!!

夕張にあった「大ロボット館」についても、例の「バ~リバリ夕張」のフレーズとともに道内ではしつこいほどCMが流れていたので、自分と同世代の人ならご存知のはず。

全国の皆さんにご説明いたしますと、この「大ロボット館」は、1988年に、石炭の歴史村の中のアトラクションの一つとして開館しました。

内容ですが、簡単にいうと、様々な「ロボット」が展示されている、というもの。実は行ったことが無いので詳しく語れません。

ただ、目玉である「巨大ロボット」については、CMで何度も目にしたので覚えています。

このロボットは非常に巨大で、2階建てくらいの高さがありました。

でも、外観は非常に愛嬌があります。

 

 

 

これです。これは劇中の画像ではありません。大ロボット館の通常営業時のもの。(ネットで拾った画像です。)

当時のSF映画に出てきそうな感じで、憎めません。この当時、ブームだったファミコンの周辺機器である「ファミコンロボット」にも通じるデザイン。

で、この愛らしいロボットが、映画の中ではゴルゴムが開発した悪の兵器として描かれている!

ゴルゴムはこのロボットを使って、憎き敵である仮面ライダーブラックを倒そうと画策していたのです!!

 

 

 

これがその想像図です。(ネットで拾ってきた画像です)

ご覧ください!上のかわいらしいロボットが、目から赤いレーザー光線を発しながら人間の町を破壊している!!

そして右手には仮面ライダーブラックが、なすすべもなくとらえられ、今にもひねりつぶされようとしている!

外観とは真逆に、非常に恐ろしいロボットになっているではないか!!

ついに対仮面ライダー最終兵器の開発に成功したゴルゴム。仮面ライダーブラックの運命は風前の灯火!!

 

しかし、この時、ロボットの開発を主導した牧野博士が夕張メロン城(悪の夕張支部)を脱出!すぐにゴルゴムの組織を挙げた追跡が行われるものの、博士はまんまと夕張を脱出します。

 

このように、夕張では緊迫した状況が展開されている中、仮面ライダーブラックこと、南光太郎は何をしているのか?

場面が変わって東京の様子。

なんと南光太郎は、知り合いの女性たちの買い物に付き合わされ、荷物運びをさせられていた!!

おいおい!いいのか!!夕張では「世界レベル」の侵略計画が進行中だというのに!!!

しかし、そこはさすがに仮面ライダーブラック。こき使われていても常に周囲への観察を怠ることはありません。彼はトラックの荷台から降りた不審な男の存在に気づき、荷物を放り出して追跡を開始します。その男こそ、牧野博士。

ブラックは博士から、夕張での恐ろしい計画を知ることになります!しかも牧野博士の奥さんと娘が、ゴルゴムに誘拐され、監禁されている!

南光太郎は、ついに疑惑の地、夕張に乗り込むことを決意!

しかもさすがは「仮面ライダー」を名乗るだけあって、なんとバイクで一路、夕張を目指しているではありませんか!!さすがに飛行機を使えよ!と思ってしまうのは、自分が「退屈なオジサン」になってしまった証拠。

ともかく、夕張についた南光太郎。しかし不思議なことに、夕張の町には人影もなく、閑散としていました。

夕張の町を行くあてもなく彷徨う南光太郎。そして、「とても自然な流れ」で、石炭の歴史村にある「石炭博物館」の中に入っていきます。

ここで登場したのが、中田鉄治・夕張市長!

市長は主人公に対し、「夕張市長です」と、ストレートな自己紹介をします。

市長は話をつづけ、

「この町は、占領されてしまったのです。」

ここで市長の姪が「おじさんは、ゴルゴムに従うふりをして、夕張を救うチャンスを待っていたんです!」と発言!

夕張の(ゴルゴムによる)苦境が吐露されます。

そして市長は主人公に対し、夕張を救ってほしい、と懇願。

南光太郎は市長の願いを達成すべく、シャドームーンの待つ「悪魔峠の怪人館」(夕張メロン城)に向かいます!!

 

 

この後ですが、夕張メロン城や、夕張市内の廃墟と思われる場所などでシャドー・ムーンと対決し、引き分け。

シャドー・ムーンは夕張からの撤退を決断し、仮面ライダーブラックのおかげで、夕張はついにゴルゴムの支配から脱することができました!

ありがとう!!仮面ライダーブラック!!!

 

なお、夕張の最後の締めのシーンも、中田市長が登場!「仮面ライダーブラック・・・・」とつぶやいて作品が終わるのです。

 

なんだかんだいって、美味しい所を持って行った当時の夕張市長。

 

 

以上が、仮面ライダーBLACKに登場した夕張のすべて。

 

 

 

 

・・・・・で、劇中では石炭の歴史村も、夕張メロン城も、大ロボット館も、とても景気よさそうに描かれています。

しかしこの当時から、すでに夕張は危機的状況に陥っていたのです。

 

 

 

(2021年3月20日 追記)
夕張支線の廃線の記事でも触れましたが、夕張の危機的財政は上記のテーマパークの建設費およびその維持費だけでできたわけではなく、むしろ、石炭を採掘していた民間企業が夕張に見切りをつけ、自前のインフラを夕張に押し付けようとして、自治体として市民サービスを維持しなければならないために夕張市が立て続けに購入せざるを得ず、その際の購入費用こそが大きな負債の元となっていました。
当時の中田市長はこの時の石炭会社の無責任に憤るとともに、街に新たな産業を育成するのと同時に、石炭の街と言うイメージを覆すためにテーマパークを作ろうとしていた、とのこと。

そして1980年代後半、ちょうど仮面ライダーBLACKが放送していた時期からバブル崩壊と言われた1993年くらいまで、夕張はファンタスティック映画祭や石炭の歴史村などの宣伝を活発に行いました。その甲斐あってか、確かに一時期、夕張の知名度は上がりました。
しかし、その知名度向上のために、多くの出費があったのも事実。

そして、テーマパークの事業は失敗に終わりました。

仮面ライダーBLACKに映っている夕張の姿は、知名度を上げるべく無理をしていた時の夕張の姿。失敗を目前にした最後の輝きのようでもあります。