審美歯科

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脳の発達と睡眠について その3

さて、一階部分に当たる「からだの脳」を成長させることの重要性について語ってきましたが、成田先生によると小児の精神外来に来院する患児の多くは、まさに①の「からだの脳」の発達が不十分なのでは、という印象を持っているとのこと。幼稚園の頃に「いう事をよく聞く子」は注意したほうがいいかもしれない、と指摘していました。(なお、ルールを教えるための「叱り」「しつけ」とは別)

話しはさらに続き、本来、小さい子は昼寝はせず、昼行性である、とのこと。

睡眠不足や夜行性だと、情緒不安定や「こだわりが強い」などの傾向がみられ、発達障害のような状態にも見えるため、本当はそうではないのに「発達障害」などの診断名がついてしまう可能性もあるそうです。

 

そのための手段として、「早起きして太陽に浴びせる」ことが強調されていました。

 

ここでさらに重要なキーワードである「セロトニン神経」が出てきます。

セロトニン神経とは「からだの脳」「古い脳」とされた脳幹部分にあり、一階部分の仕事(食欲、姿勢、睡眠、呼吸、情動、自律神経、性欲)のほぼすべてを行っているとのこと。

しかもセロトニン神経は「一階部分」だけに収まらず、神経突起をどんどん伸ばして二階部分の「前頭葉」にまで枝を広げます。そのため、二階部分の仕事である「認知、記憶」の働きまでしてくれるのです。脳幹などの「古い脳」と、前頭葉の「新しい脳」をつなぐ働きもあるため、一階と二階を結ぶ「階段」の役割もあるそうです。たとえば、一階部分の「こころの脳」で「不安」や「恐怖」が生まれても、セロトニン神経がそれを二階部分である前頭葉につないで、「大丈夫、大丈夫」と安心させる仕事を行っている、とのこと。

前回の説明では一階部分と二階部分が断絶しているように見えますが、セロトニン神経などがそれらの脳を結んでいるので、脳の各部分で異なる働きが起こっても、一体となることができるそうです。

 

この重要極まりないセロトニン神経ですが、生まれた後に発達する神経だそうで、生まれてからの5年間の脳の可塑性が高い時期に刺激を受けることで、どんどんつながりが作り上げられていく、とのこと。

ではセロトニン神経を成長させるにはどうすればいいのか?

前回、「からだの脳」の成長のために「噛むこと」が重要だ、とお話ししましたが、まさにこれ。脳幹にあるセロトニン神経を成長させるには、五感からの繰り返しの刺激が必要になります。

では、どう刺激すればいいのか?それは「視覚」を刺激すること。しかも「太陽の光」がとても重要。

セロトニンは、朝に大量に放出されます。しかも太陽が当たることで、セロトニンの放出が促進されます。

つまりセロトニン神経は、「朝の太陽の光」で成長を促すことができるのです。

 

このことが、講演の中で最も強調されていたこと。

成田先生によると、情緒不安定であったり、朝起きれずになかなか幼稚園に行こうとしない子の多くに、夜遅くまで起きている、などの生活の乱れが見られたそうです。

そのような子供の保護者に対し、先生は「朝起きて、夜寝ること」をきちんと行うことを提案。幼稚園、保育園とも協力して昼寝の時間を短くして「昼寝のし過ぎ」をなくし、夜早く眠ることができるようにする。偏らない食事を心がけ、リズム体操などで体を動かすことも指導し、そして朝はとにかく早く起こして陽の光を浴びせるように説得した、とのこと。

もし朝、起きなくても、抱えてでもベランダに連れて行き、半分寝ていようと陽の光に強制的にでも浴びせること、を行わせたところ、わずか数日で朝早起きして、食事もきちんと食べ、夜も早い時間にぐっすり寝ることができるようになった、とのこと。

 

今って、電子機器を自在に扱う小さいお子さんも珍しくないですよね、当院でも3歳にしてスマートフォンを苦も無く操るお子さんもいます。珍しくないです。スマホに限らず、3DSや家庭用ゲーム機、現在のところ、サンタさんへのリクエストナンバーワンである「スウィッチ」など、多くのお子さん向けの機械がありますし、DVDだってためらいもなく扱うことができる幼稚園児の方が多いと思います。

中には夜遅くまでゲームやDVDを見る、という生活パターンとなってしまったお子さんもいるかもしれません。

まずはとにかく、朝、陽の光を浴びせることから始めてみましょう。

また、セロトニンと同時にメラトニンも重要、とのこと。

メラトニンは、セロトニンとは正反対に日中は分泌が減少し、夜、暗くなってくると分泌量が増える、とのこと。

メラトニンは脈拍、体温、血圧を低下させて睡眠を行わせる物質。

メラトニンとセロトニンはとても関係が深く、不規則な生活や陽の光を浴びない生活を行っているとメラトニンも正常に分泌されなくなり、睡眠障害を引き起こす、とのこと。

そしてこのメラトニンも、生後5歳までに一番多く分泌され、その後は分泌量が減っていく、とのこと。

 

セロトニン、メラトニンと言う、体内時計の機能にも重要な成分も、その成長の主流は5歳まで。

 

 

5歳くらいまでの「からだの脳」の成長が、ヒトの生涯に大きな影響を及ぼすことがわかりました。

そしてそれを成長させる方法は、必ずしも早期教育を行うことではなく、「噛むこと」「寝ること」「起きること」であり、その他の五感を刺激すること。

 

他にも現代の日本人の睡眠時間の少なさを指摘する、など、講演のメインは睡眠の重要性を訴えるものでした。

 

 

以上が講演のご報告になります。

 

 

お子さんに一杯、良い刺激をあげてください。木のおもちゃを触ってみる、遊んでみる、なんてのもいいかも。将棋の藤井棋士も、幼いころ、ビー玉を転がす木のおもちゃで遊んでいたそうですし。

 

別に「国立医学部に現役で合格」するためだけではなく、スポーツ選手になったり、文豪になったり、大臣や博士になるためにも、脳の容量を増やすことが大事。

 

ちなみに成田先生は著作の中で、脳は何歳からでも成長する、としていました。皆さん、頑張りましょう!

 

 

 

 

 

非常に長くなってしまった、宇都宮での講演のお話しはこれにて終わりとなります。

 

脳の発達と睡眠について その2

さて、前回からの続きですが、最初に脳の発達についておさらいしてみましょう。

 

 

①「からだの脳」(脳幹)が成長(0歳~5歳)

②「おりこうさんの脳」(大脳新皮質)が成長(1歳~18歳 中核は6歳~14歳)

③「こころの脳」(前頭葉)が成長(10歳から18歳 中核は10歳から14歳)

 

このようになり、成長する年代も異なります。

講演では上の年齢が繰り返し強調され、必ず①→②→③の順に成長する、と説明されていました。

つまりどんなに頑張っても、①→③と過程を飛ばして成長したり、①を省いて②、③を成長させることはできない、とのこと。

 

お分かりの通り、世間一般で「才能がある」「優秀だ!」とされる部分は②や③であり、特に③の記憶分野や社会的行動などは重視されます。

でも、成田先生は、①が十分に成長していないと、その後の②、③の成長は不十分になる、と説明。

成田先生の著作の中では、いくつかの例もあったのですが、たとえば幼稚園のA、B、C、Dという4人の子供がいて、Bくんは学習面でとても優秀で、幼稚園にしてひらがなをすらすらと書いてしまう。Cくんは運動能力に秀でていてサッカーが得意で、お母さんはプロも視野に入れている。Dくんは好き嫌いなく食事を食べて残すこともなく、お菓子も食べないのでむし歯も1本もない。 一方でAは毎日、怪獣ごっこをやったり遊びのサッカーをへとへとになるまでやって、夜は疲れてぐっすりと寝てしまう、という幼稚園児には「ありがち」な子。

 

一見すると、Bくん、Cくん、Dくんは、早い時期からスポーツや学習で才能を開花させたように見え、Dくんも聞き分けの良い利発な子、のように思えてしまいます。この3人と一緒にいると、Aくんが見劣りしてしまうかもしれません。

ところがBくんは小学校に入ってから不登校になってしまい、Cくんは小学校でケガをしてしまい、Dくんはお母さんがいないと給食を食べることができない、という状態になってしまいます。一方のAくんはその後も「小学生らしい」生活をしていたのですが、あることがきっかけとなって「獣医になる」と言いだし、自発的に勉強を始めて進学していった、とのこと。

 

上記は著作の導入としての「例」として出されたのでフィクションも入っているとおもいますが、同じ著作や他の著作にはこれに類似した「実例」もあり、ある程度、事実に基づいていると思われます。

 

成田先生はこの現象について、ヒトの土台となる①の段階を疎かにしてしまったからだ、と指摘。

先生は①→②→③の成長段階を家の構造に見立て、①が家の基礎部分となる重要な場所で、一階部分、②はその上にある二階部分、③は家の中の機能を充実させる電気や水道、ガスなどの配線、配管関係、としていました。

 

皆さん、ご想像できると思いますが、家やビルも一階部分がしっかりして大きなものでないと、二階部分をのせることはできませんよね。

細長い一階の上に、やたら大きな2階を作ることはできないし、できたとしても地震などですぐに崩れてしまいます。

Bくん、Cくん、Dくんはまさに細長い一階の上に、大きな2階を作ってしまったようなもので、家に見立てると、実は脆弱な構造であったと想像されます。

近年、不登校や引きこもり、それと反対に「学級崩壊」ともいわれる児童の落ち着きのない行動、いじめの陰湿化についても、「早期教育」の名の下に行われる、一階部分を無視した子育てにも原因があるのではないか、とのこと。

また、「自閉症スペクトラム」や「発達障害」という診断も増えてきていますが、実は本当はそれらに当たらないのに、上記のように一階部分を疎かにした結果、情緒不安定になり、傍から見るとあたかも「自閉症スペクトラム」や「発達障害」のように思えてしまうという状況も増えている、と指摘。

 

生きていくうえで重要な「一階部分」である、「からだの脳」を十分に成長させること、①の次に②を成長させる、という段階をきちんと踏むことの重要性を訴えておられました。

 

ではこの「一階部分」を成長させる方法、ですが、「からだの脳」は、「呼吸や心拍数・血圧」「覚醒と睡眠」「感覚・運動」「姿勢」を司るとのことで、これを鍛えるのは、とにかく色々な刺激を与えてみること。

著作の中では「視覚への刺激」「聴覚への刺激」「触覚への刺激」「味覚・嗅覚への刺激」を挙げられていました。

なんか漢字ばかりで取っつきにく「用語」が並んでいますが、要は触ったり見たり、聞いたり、そして食べたりすること。

 

「その1」で、脳幹は脳神経と接続している、と書きましたが、脳神経には12個あって、国家試験の必須項目なんで必死に覚えた記憶がありますが、この12個はそのほとんどが首から上の部分と神経がつながっているのです。

見たもの、嗅いだもの、食べたものの刺激はダイレクトに脳に送られ、脳幹を刺激します。

 

こうして刺激されることで、神経同士がどんどんつながっていきます。つながりが多くなるほど脳の「容量」や「機能」が充実する、とのこと(加納の解釈も入っているかも)。

なのでこの時期はいろいろなものを見せたり、触ってみるのがいいかもしれませんね。

実は11月28日に、白石区の歯科医で、姿勢や噛み合わせに詳しい江端先生に講演を行ってもらうのですが、その中で江端先生は「這い這い」の重要性を指摘し、這い這いじゃないと成長できない感覚があるとのこと。つい赤ちゃんの立つ姿を早く見たい、と思ってしまいますが、「這い這い」の段階を十分に経験しないと、将来、姿勢に大きな影響が出てしまうそうです。

どうしても「早くできる」ことが、イコール「優秀である」と思いがちですが、早く成長してしまったがために重要な過程を飛ばしてしまう可能性もあるのです。

 

話を戻すと、この時期の「刺激」の中に、「味覚」があります。「食べること」です。

 

ここがまさに、今、重視されていること。色々な刺激があると思うのですが、「食べること」って、その中でもかなり大きな比重を占めていると思うのです。大人だって、一日の生活の中で「食べること」って、大事でしょ?健康とか別にして。

多くの人は、朝出勤とともに「昼に何を食べるか」を考え、午後からの勤務が始まるとともに「今夜は何を食べるか」を考える、と思います。また1週間後に高級レストランでのディナーなんかを予約していると、「どんなものが食べられるのだろう」と、予定日までの日々をワクワクしながら過ごしたりもしますし。

今、来院してくれている子供たちにも「今頑張ったら、クリスマスとお正月に美味しいものが食べられるよ」というと、治療にやる気を見せてくれます。

 

赤ちゃんの時でも「食べること」の大事さは、「空腹を満たす」「栄養のため」とは別に、「楽しみのため」としても重要なのだと思います。

 

また、近年、問題となっている「口呼吸」ですが、これも幼少期どころか離乳食の時からの食事の仕方にも問題の原因がある、と指摘されています。

離乳食の口への運び方も重要だし、また「きれいに食べなさい」と叱ってしまう手づかみ食べも、感覚を養う上でとても重要なのです。

自分はいずれ、「手づかみ食べ食事会」を行おう、と計画しています。まあ、色々と解決しないといけない問題もあるのだけど。

そして、「噛む」ことも重要。「噛む」刺激も脳の直接送られ、脳の中の神経同士のつながりを促します。

 

これに関して「日本学校歯科医会雑誌 124号(平成30年度第一号)に興味深いお話しが掲載されていました。

 

前田隆秀氏の執筆による「学校歯科健康診断にあたって留意したいこと」という記事の中の「咀嚼と脳機能」と題した項目について。

前田氏は「ラットを用いて咀嚼と脳機能に関与する大脳の海馬における神経幹細胞に与える影響ならびに記憶実験を行った」とのこと。

その中で、「生後4週のラットの奥歯を抜いて、粉上の食事(やわらかい食事)を与えたグループ、と、歯を抜かずに硬い固形食を与えたグループ、と、歯を抜かずに粉上の食事を与えたグループ」にて、生後18週になった時点での神経幹細胞の数を測定したところ、「歯を抜いて軟らかい食事を与えたグループ」つまり、奥歯で噛むことができない上に軟らかいものばかりを食べていたグループが神経幹細胞の数が最も少なく、ついで「歯は抜いてないけど軟らかい食事を与えたグループ」つまり奥歯で噛むことはできるけど軟らかいものばかり食べていたグループが少なく、「歯を抜いていなくて固いものを食べていたグループ」が、最も神経幹細胞の数が多かった、とのこと。

また、空間記憶と視覚記憶など、記憶に関しても、奥歯で噛めないで軟らかいものばかりを食べていたグループでは記憶力が低下し、奥歯で噛めて固いものを噛んでいたグループが最も記憶力が高かった、とのこと。

 

この実験は幼児期、学童期を対象にし、実験内容も成田先生の言いたいところと異なるかもしれませんが、「噛むこと」が脳の発達に大きな影響を及ぼすことの裏付けになると思われます。

 

 

また、成田先生の著作でも、育児に関するものでは「食事」に多くの部分が割かれており、育児と食事は切り離すことができないばかりか、多くの部分を占めていることがわかります。

 

生まれてから小学校入学まで、「食べること」「噛むこと」は、とても重要な「育児」であり、「教育」です。

 

お子さんたちに健全に育ってもらうには、早い時期に英才教育を受けるのもいいかもしれませんが、食べることやこの後、触れる「寝ること」「起きること」が重要です。

 

 

 

と、結構長くなったうえに、歯科に偏った内容となりました。成田先生は「食べること」も重視しておられましたが、何よりも「睡眠」を重視していました。

次回、お話しします。

脳の発達と睡眠について その1

すんません、年末に向けて、何かとバタバタしているもので、すっかり更新が遅れてしまいました。

ちなみに先週、ちゃっかり来年3月に廃線となる夕張支線に乗ってきてもいますが。

 

実はまだ、10月6日、7日にかけて宇都宮で行われた学会のお話しの途中でした。最近、来年以降の予定も視野に入れて日程を決めるようになり、いい加減にお話を終わらないといけないだろう、と、焦って更新しております。

 

今回のお話しは、「脳の発達から考える子供の睡眠と生活習慣」と題された講演についてのお話し。

 

なお、最初にお話ししておくのですが、今回の内容は、ややもすれば「子育て論」「教育論」にも踏み込むものとなるかもしれません。今回の件についてブログで記述するのに合わせ、色々と調べたりもしたのですが、「教育論」「子育て論」はそれこそ世の中に幾多もあることを、改めて実感させられました。中には3歳ころから「天才」を育てる方法などもあり、思わず教育方法の迷い箸をしてしまいそう。また各家庭の思想信条、信仰なども重要な点と思われます。今回の講演で自分が納得したのは、変に教条的な内容でない、と思われたから。講演の基本は「朝起きて、夜寝る」というもので、これはどんな教育論、子育て論にも当てはまるんじゃないかなあ、と思われます。それでも、お子様の教育・育児は各ご家庭によって異なり、「これが正解」というものはなく、押し付けられるものではない、というのが原則です。

今回のお話しは、あくまでも参考として聞いていただけたら幸い。

 

まず今回の講演は、文教大学教育学部教授で小児科専門の医師である、成田奈緒子先生によるもの。

失礼ながら自分は先生のことを存じ上げず、経歴紹介では、あのiPS細胞を発見してノーベル賞を受賞した山中伸弥教授とは神戸大学医学部時代の同期(?)とのこと。札幌に帰ってきてから調べたところ、成田先生は子育てに関する著作も多く、「現役で国立医学部に合格した勉強法」という本も出されておられます。思わず心が動かされた保護者の方もおられると思います。

これは開業でこの地に来て初めてわかったのですが、西区は札幌西高校を目標として、なかなか受験熱の高い地域のようで、保護者の方も熱心な方が多い、というのを実感しています。

ちょっと話が逸れてしまいました。さっそく始めます。

今回の内容は、講演で話されたものと、成田先生の著作からのものが合わさったものとなります。

 

 

 

成田先生はまず、「脳がどうやって育つのか」について、お話しされていました。

 

それによると、人間の脳はまず、成田先生が「からだの脳」と呼んでいる「脳幹」の部分から発育を始める、とのこと。脳幹は、脳の延髄、中脳、橋と呼ばれる場所のこと。脳幹には多数の「脳神経」が多数出入りし、自律神経機能の中枢があり、「呼吸・心拍数・血圧」を調整する中枢であると同時に「覚醒と睡眠」を調節する「網様体」があり、感覚神経路や運動神経路があり、姿勢反射の中枢がある、という場所。いわゆる「古い脳」と呼ばれる場所にあたります。

「古い脳」とはいっても、「呼吸や心拍数・血圧」「覚醒と睡眠」「感覚・運動」「姿勢」の中枢がある、ということは、脳幹が、生きていくうえで最も重要な「寝て、起きて、食べて体を動かす」ということを担っている部分である、とわかります。

そしてこの「脳幹」は、0歳から5歳までで成長を終えてしまう、とのこと。

なんと生命に直結する重要な機能は、5歳までしか成長しないのです!

 

脳幹の次に成長が始まる脳は、「おりこうさんの脳」と呼ばれる「大脳新皮質」という部分です。大脳新皮質は、言語機能や合理的で分析的な思考、微細運動や知恵・知識・記憶の中枢。「話すこと」などの言語、「ハサミで紙を切る」「絵を描く」「折り紙を折る」などの微細な行動、勉強やスポーツなどのための脳です。成田先生は著作の中で、この「おりこうさんの脳」について、「人間らしさの脳」と呼んでいます。

これも非常に重要な部分ですね。この「大脳新皮質」は、1歳から18歳まで成長するとのことですが、その中核部分の成長は6才から14才までとのこと。「6才から14才まで」というところが重要です。

 

そして最後に成長するのが、「こころの脳」と呼ばれる「前頭葉」という部分。前頭葉は「結果の予測」や「行動の選択」、「社会的に見た行動の妥当性」「物事の類似点・相違点の判断」や「長期記憶」の中枢。お分かりのように、社会で生きていくために必要な部分を指しています。成田先生は「こころの脳」と呼んでいました。10歳から18歳まで発達しますが、その中核部分は10歳から14歳にかけて成長するそうです。

 

ここまで各部分の脳の「成長する時期」を明記してきましたが、講演ではこれがとても重視されていました。

成田先生は、講演の全編にわたって「脳の成長する時期」に合わせた子育ての必要性を訴えておられました。

たとえば、上で「社会で生きていくために必要な脳」とした「こころの脳」の部分は、生まれてすぐの赤ちゃんには存在しません。ということは、生まれてすぐの赤ちゃんに、前頭葉を成長させるための訓練や教育を行っても意味がないのです。

 

では、どうすればいいのか?どうすれば「現役で国立医学部に合格」できるのか?

 

次回からお話しします。

フッ素について、聞いていただきたいこと

宇都宮で学会に出席したお話しがつづいておりますが、ここで休憩して、今回は、フッ素についてお話ししたいと思います。

 

宇都宮での記事において、当初、「フッ素に関して、日本は遅れている、北海道は最も遅れているのではないか」という記述をしていました。

これは後に削除しましたが、きつすぎる表現であった、と後悔しております。

 

まず初めに言っておきますと、フッ素はあくまでも予防処置であって、絶対にやらなければならないものではない、ということ。

 

フッ素塗布を行う、行わない、は、最終的には各個人に選択する権利がある、と自分は考えております。

 

自分が「日本は遅れている、北海道は最も遅れている」と記述した真意ですが、北海道におけるフッ素についての議論を、間接的ながら耳にする機会もあるのですが、その根拠が「なんだかなあ」と言わざるを得ないものが多いと感じまして。

これまで、フッ素を塗ると「骨硬化症になる」というものから、「ダウン症になる」「IQが下がる」等の出処のあやしいものまで、多くの不安を、保護者の方々から受けてきました。

 

骨硬化症については、ネットに画像もあるので信憑性が高いようにおもわれますが、よくご覧いただくと、その「画像」の多くは中国の南西部やイランなど、限られた地域のもの。これらの地域では日常の天然の飲み水の中に、非常に高濃度のフッ素が含まれており、これを日常的に、長い期間、摂取しつづけることで発症しやすくなります。

「非常に高濃度のフッ素を、長年に渡り、日常的に」というところが重要で、アメリカや欧州をはじめ、韓国などのアジアでも行われている「フロリデーション」では、極めて低濃度のフッ素を水道水に含ませているため、中国南西部やイランなどの一部の地域とは異なります。

フロリデーションを行っている地域では、フッ素による健康被害、社会問題は、今のところ、報告されていません。

今年、アメリカのカリフォルニア大学サンフランシスコ校のフェザーストーン教授の講演DVDを見たのですが、欧米では「長い期間、フッ素を塗らない」という実験は、「その人がフッ素から受ける恩恵を妨げてしまう」という理由で認められない、と話していました。

先進国の多くで、フッ素が日常的な権利となっているのは事実です。

 

だからと言って、日本もそうすべきだ!と言いたいわけでもなく。

 

自分が「遅れている」としたのは、虫歯予防について、欧米との単純な比較は、条件が異なるので、あまり意味がないのでは?ということ。

 

当院にも、フッ素の塗布を拒否される方に来院していただいておりますし、友人でも「フッ素はいらない」という歯科医もいます。その友人の場合は、健康被害があるから、ではなく、口を閉じたり口の周りの筋肉を育成すればフッ素は必要ない、という意味での発言ですが。

 

フッ素は歯質を強くする、むし歯になりにくくする、などの効果がありますが、近年はそれよりも唾液のPh(ペーハー)の改善が重視されています。

食事やおやつなどを食べるとペーハーは下がります。でも、その後、唾液の成分によって中性に戻ります。

この「ペーハーが下がる」のは重要で、下がったときに歯からカルシウムやリンなどのミネラル成分が溶けだす、いわゆる「歯が溶ける」状態となります。でも、その後、唾液の力によってペーハーが上昇する時に、歯は今度は周囲のミネラル成分を吸収して強くなります。こうして、歯の表面は絶えず更新されて強さを維持しています。手や足などの皮膚も、生まれてから死ぬまで同じ細胞が続いているわけではなく、絶えず内部から新しく皮膚となる細胞が出てくることで絶えず更新されていますし、骨だって破骨細胞と呼ばれる細胞が古くなった骨を吸収して、骨芽細胞と呼ばれる細胞が新しい骨を作り続けることで、こちらも絶えず更新されています。

なので、ペーハーが下がって「歯が溶けて」、その後にペーハーが上がってカルシウムなどを吸収する、という事自体は、歯の健康を保つうえで、むしろ必要な事と言えます。

なお、フッ素はペーハーが上昇する時にカルシウムの吸収を促進します。

で、ですね、問題は、ペーハーが下がって、上がる、というサイクルが保たれている分にはいいのですが、頻繁にお菓子を食べたり、ダラダラと食べたり飲んだり、キャラメルなどのとても甘くて歯にくっつくお菓子を食べるなどすることで、酸性の状態が長く続いた場合です。

当然ながら、酸性の時間が長くなることで、「歯が溶ける」時間が長くなってしまいます。

また、バイオフィルムも、前回の記事にあるように、酸性の環境にあると善玉菌が減ってきて、より悪さをする菌が増えてきますし、また善玉菌であっても、酸性の環境では酸を代謝するようになってしまいます。細菌はもともと、酸性の環境で酸を代謝する性質があります。これは「発酵」とも呼ばれる性質で、腸内細菌では、人体はむしろ胃酸などによってわざと酸性の環境にして腸内細菌に「発酵」をさせて、人体では作り出せない重要な栄養素である「短鎖脂肪酸」を作り出します。
この短鎖脂肪酸ですが、それらは乳酸や酪酸などで、これらは口腔内ではむしろ、歯を溶かしてしまいます。

つまり口腔内が酸性の状況ということは、腸の中と似た環境になってしまい、細菌は本来の性質である「発酵」をはじめてしまう。

上記のように溢れた酸は、歯と歯の間にも容易に浸透してしまいます。

歯磨きをすると、歯の表面の汚れを落とすことはできますが、歯と歯の間の汚れは糸ようじなどを使用しないといけません。その上、歯と歯の間に入り込んだ酸は糸ようじなどの清掃機具でもキレイにするのは難しい。歯の表面の酸は、唾液などの効果で中和されますが、歯と歯の間に入った酸はなかなか中和されず、2時間ほど、酸が居座る、ともいわれています。

さらに言えば、もし、お子さんが口呼吸などを行っていると、口の中の唾液が渇いてしまって唾液の中和成分も極めて少なくなってしまいます。また、唾液の中にはカルシウムなどのミネラルが過飽和な状態で存在しています。そのため、歯からミネラルが溶けだしても、すぐに唾液のカルシウムは供給されるのですが、もし唾液が渇いてしまっていると、カルシウムの供給源も失われてしまい、歯からミネラルが溶けただけで外から補填されない状態となってしまいます。

この点はとても重要で、5歳くらいで大人の歯が生え始めたとき、その頭を出したばかりの歯はまだ未成熟で、唾液の中のカルシウムをたくさん吸収して成熟しないといけないのですが、もしこの時期に口呼吸やお口をぽかんと開ける習慣があると、十分に成熟することが難しくなり、将来、永久歯が虫歯になる可能性が高まってしまいます。

 

結局、フッ素はとても大事ですが、その前のペーハーの改善も重要と言えます。

 

自分は虫歯予防にフッ素をお勧めします。

 

が、フッ素をしないで虫歯予防をする方法もあります。フッ素塗布をしない、というのも大事な選択肢です。予防処置なんで、個人の自由を妨げてまで強制はできない、と個人的には考えています。

 

 

・・・・・余談ながら、自分は北見出身なのに、タマネギが嫌いなのです。あの食感がとても苦手。とても小さいころに「嫌だ」と思ってしまった感触が、いまだ抜けないのです。

お子さんの中には、フッ素の味が嫌で、塗布すると吐いてしまう、という子も、たまにいます。それでもお母さんは、歯のために、とフッ素を塗ってください、とおっしゃるのですが、あくまでも予防処置なので、そこまで無理しなくてもいいです、と説明しています。

 

 

フッ素に関係なく、定期的に歯科医院で健診を受けることをお勧めします。